「厳密なモニタリングを行い検査した結果、規制対象から外します」。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、6月27日の安倍晋三首相との会談で述べた。東電福島第1原発事故に伴う日本産食品輸入規制を、大幅に緩和すると明らかにしたのだった。福島県産の大豆や5種の山菜も受け入れる。
日・EU交渉筋によると「EUがここまで打ち出すとはうれしい驚きだった」。今回の規制緩和は岩手、宮城、群馬、栃木、茨城、千葉各県の水産物にも及ぶ。この6県すべての水産物を、かたくなに全面輸入禁止にしている韓国に対しても、一定のメッセージとなったことだろう。
最近では、フィリピンのドゥテルテ大統領が5月の来日時に、安倍首相に福島県産水産物への輸入停止措置解除を伝えた。コンゴも今月、日本産食品の輸入規制の全面撤廃を発表している。風評被害払拭を目指す日本の外交努力も、徐々に実を結んできた。
20カ国・地域(G20)首脳会議で、各国の報道機関が取材拠点とする国際メディアセンター(大阪市住之江区)には、日本酒、焼酎などを試飲できる「日本のお酒」コーナーが設けられている。海外での日本酒人気の高まりもあって、記者たちがむらがっていた。
福島産の『からはし』『奥の松』をはじめ、東北地方や北関東の銘酒も多数あるが、飲む側もこだわりなく楽しんでいた。科学的根拠に基づき安全なのだから当然だし、おいしいものはおいしいのである。
日本政府観光局によると、今年1~5月に訪日した韓国人観光客は約325万人に及ぶ。「彼らは日本で、韓国の輸入禁止食品を飲食しているだろうに」。外務省幹部は、韓国の非合理的で無意味な輸入規制にあきれかえっていた。