20220726 Myanmar Protests Thailand

Myanmar nationals living in Thailand hold the pictures of the executed political prisoners in Myanmar, as they protest outside Myanmar's embassy in Bangkok, Thailand, Tuesday, July 26, 2022. International outrage over Myanmar's execution of four political prisoners intensified Tuesday with grassroots protests and strong condemnation from world governments, as well as fears the hangings could derail nascent attempts to bring an end to the violence and unrest that has beset the Southeast Asian nation since the military seized power last year.(AP Photo/Sakchai Lalit)

死刑執行された政治犯の写真を掲げ抗議するタイ在住のミャンマー人ら
=7月26日、バンコクのミャンマー大使館前(AP)

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ミャンマー国軍が、民主活動家ら4人の死刑を執行した。クーデターで権力を奪った国軍に抵抗し、民主化要求を貫いた元下院議員らである。

 

国軍が設置した軍事法廷が今年1月、「テロ行為」に関与したとして死刑判決を言い渡した。弁明、弁護の機会が与えられたかどうか極めて疑わしく、実態は、有無を言わさぬ政治犯の処刑である。

 

内外から死刑を執行しないよう求める声が相次いでいたが、国軍は強行した。ミャンマーではこの数十年、死刑執行はなかった。

 

人権団体などによると、ミャンマーではクーデター以降、子供2人を含む117人に死刑が宣告された。4人の刑執行は、国民に対する恫喝(どうかつ)に他ならない。

 

国軍への抗議集会で声を上げる在日ミャンマー人ら参加者=7月25日午後、東京都港区(共同)

 

弾圧が苛烈になってきたとみるべきだ。日本をはじめ国際社会は連携し、権力奪取をやめさせるため、圧力を強化すべきである。

 

クーデターから1年半が経過し、事態は悪化している。国軍は平和な抗議デモに実弾で応じ、民主派勢力の一部は武装闘争に入った。コロナ禍やロシアのウクライナ侵略に伴う燃料、食料価格高騰で、経済は危険な状況にある。

 

だが、東南アジア諸国連合(ASEAN)と約束した全当事者との対話を依然、始めようとせず、平和的解決の糸口も見えない。

 

ミャンマー国軍が外相に任命したワナマウンルイン氏(左)と会談した中国の王毅国務委員兼外相=4月1日、中国安徽省(新華社=共同)

 

警戒すべきは、苦境にある国軍が中国、ロシアへの傾斜を深め、両国を見習うかのように、強権的手法を強めていることだ。

 

中国の王毅外相が7月、クーデター後初めてミャンマーを訪問し、国軍支援の姿勢を示した。ミンアウンフライン国軍総司令官は直後にロシアを訪れ、軍事、防衛協力の他、エネルギー調達での協力も話し合った。総司令官の訪露はクーデター後、2度目だ。

 

中露両国は国軍に影響力を行使できる立場にある。平和的解決を促すべきだ。国軍擁護の姿勢は、強権行使をあおるに等しい。

 

4人の刑執行を受け、日米韓など8カ国と欧州連合(EU)の外相は、死刑執行を非難する共同声明を発表した。ASEAN議長国のカンボジアは「深く失望した」と表明した。

 

ASEANを含めた、この枠組みが主体となって連携し、国軍と向き合っていくのも一案だろう。不当な権力奪取に先行きはないことを、国軍に繰り返し説き、分からせねばならない。

 

 

2022年7月31日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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