FILE PHOTO: German Chancellor Angela Merkel gives a statement in Berlin

German Chancellor Angela Merkel

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中国の覇権主義的行動を抑止していくために、欧州で中核的地位を占めるドイツと協調を深めていきたい。

 

日独両政府が、初の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)をテレビ会議方式で開いた。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、両国が緊密に連携していくと合意したことを評価したい。

 

ドイツ側から今夏、海軍のフリゲート艦をインド太平洋地域へ派遣すると説明があり、日本側はドイツの同地域への関与強化だとして歓迎した。独フリゲート艦と海上自衛隊による共同訓練実施の調整を進めることになった。

 

両政府は中国を念頭に、南シナ海などでの力による現状変更の試みに深刻な懸念を表明した。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していく重要性も確認した。

 

ドイツは昨年9月、新外交方針をまとめ、インド太平洋地域で日本やオーストラリアと連携していくと打ち出した。海外領土を持たないドイツがフリゲート艦を派遣するのは、対中国政策をめぐって国際社会の中で発言権を高める狙いもある。

 

ただし、メルケル独政権が今までの対中傾斜を完全に改めたとまでは言い切れない。外交筋によれば、派遣フリゲート艦が「友好親善」の名目で中国にも寄港する可能性がある。このような寄港が行われるとすれば望ましくない。

 

ドイツにとって中国は最大の貿易相手国で、多くのドイツ企業が収益をあげている。メルケル首相は2005年の就任以来、15年間で12回訪中し、中国との経済関係を深めてきた。香港や新疆ウイグル自治区における人権弾圧などを受け、中国寄りの外交姿勢を軌道修正しつつあるが、中国にも笑顔をふりまくようでは困る。

 

日本は、2プラス2会合などを重ね、ドイツを対中抑止を図る仲間にしていくことが必要だ。

 

日独関係には韓国の反日行為が影を落としている。

 

韓国系団体が首都ベルリンの公有地に慰安婦像を設置し、独ザクセン州ドレスデンの州立博物館などでも展示されている。日本政府は、歴史を捏造(ねつぞう)して日本を貶(おとし)める慰安婦像の不当性をドイツ側に繰り返し説くべきだ。ドイツ政府は良好な日独関係のためにも、歴史の真実のためにも、慰安婦像の撤去に動くべきだ。

 

 

2021年4月27日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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