震度6弱の地震に見舞われた石川県珠洲市。
同市立飯田小の校庭にできた地割れ
=6月20日、石川県珠洲市(安元雄太撮影)
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石川県能登地方で強い地震の発生が続いた。19日午後3時過ぎに起きたマグニチュード(M)5・4の地震では、震度6弱が観測され、けが人が出た。20日午前10時半ごろにもM5・0の地震があり、最大震度5強の強い揺れとなった。
気象庁によると、震源の能登半島先端部では令和2年12月から地震活動が活発化しており、今後も強い地震への警戒を続ける必要がある。
北海道北部でも20日午前、最大震度4の地震が起きた。
また今年3月には、福島県沖を震源とする地震(M7・4、最大震度6強)で東北新幹線が脱線する事故があり、昨年10月の千葉県北西部を震源とする地震(M5・9、最大震度5強)では、首都圏は一時的に都市インフラの機能不全に陥った。
群発的な地震活動が続いている能登半島に限らず、日本列島全域が地震の活動期にあることを、改めて認識する必要がある。
今回の能登半島の地震は、平成7年の阪神大震災(M7・3)などに比べると地震の規模は小さいが、震源が浅いので局地的に神社の鳥居が倒れるほどの強い揺れになった。内陸部でのM5~6級の地震はいつ、どこで起きてもおかしくない。
建物や構造物の倒壊から命を守るために、「今できることは今やる」ことを徹底したい。
具体的には、家具の固定やガラス窓の破損防止、寝る場所の安全性を高め避難時の持ち出し品を準備しておくことなどである。屋外のブロック塀や看板などの構造物についても、震度6弱以上の揺れを想定して耐震性や固定状況を見直し、強化しておきたい。
M8~9の南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70~80%、40年以内だと90%程度とされる。終戦をはさんだ昭和19年の東南海地震、21年の南海地震の前後には、18年鳥取(M7・2)、20年三河(M6・8)、23年福井(M7・1)と、M7級の直下型地震が相次いだ。
平成23年の東日本大震災前にも岩手宮城内陸地震(20年、M7・2)が起きている。次の南海トラフ地震の前にも日本列島のどこかでM7級の直下型地震が起きることを想定しなければならない。
「今できること」を積み重ねる以外に、地震列島で命を守り抜く手立てはない。
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2022年6月21日付産経新聞【主張】を転載しています