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Five Shocking Scenarios for the Year of the Tiger
(寅年のショッキングな5つのシナリオ)
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新型コロナウイルス禍で2度目の新年は、オミクロン株の感染拡大で始まった。だが、ワクチン接種が進み、人々を支配していた恐怖心は薄れ、関心はコロナ時代の生き方に移っているようだ。
新年の2週間、英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)で最も読まれた記事にもそんな傾向が見て取れた。
たとえば、トレンドの上位に入り注目を集めている記事の見出しが、上の英文(日本語訳)である。
元旦に掲載され、寅年の「ショッキングなシナリオだ」と言われれば、読みたくなるのが人情というものだ。その5つのシナリオを紹介しよう。
まずは、東京証券取引所のバーゲンセール。世界中の投資家から巨額の資金を集める米テスラがホンダを、同じく米アップルがソニーを買収するという衝撃的なものだ。
次いで、不動産バブルの崩壊など、経済に陰りが見え始めた中国の習近平国家主席が、欧米や日本による「反中包囲網」が出来上がる前に、台湾を力で屈服させるギャンブルに打って出るというシナリオである。
さらに、新型コロナの一層の感染拡大に加えて、天災や戦争などの災禍が起きた場合、2桁のハイパーインフレに突入する国々が現れるというものだ。日本ももちろん、この大波に巻き込まれる。
これとは反対に、コロナ禍で低迷していた世界の経済活動が一斉に再開するとエネルギー不足が顕在化、グリーンエネルギーでは急増する需要を満たすことができず、石油価格が急騰し、物価も急上昇することになるというものだ。
筆者の英国人金融証券アナリスト、ピーター・タスカ氏は、これらは「起こる確率は非常に低い」としながらも、「起きたら世界がひっくり返る事態になる」と述べ、考えておくことは意義があるとしている。
約100年前、人類は新型コロナ以上の犠牲を出したスペイン風邪を克服し、新しい芸術や思想、価値観を生み出し、技術革新をもたらした。最後のシナリオとして、そんな歴史を挙げ、「今回も再びそうした飛躍があってもおかしくはない。活力ある世代の寅年にふさわしい咆哮(ほうこう)に期待したい」とユーモアを交えながら記事を締めくくった。
これ以外にも、天皇、皇后両陛下による新年のビデオメッセージや、昨年の2020東京五輪で日本柔道を世界の頂点に導いた井上康生氏の新年メッセージも読まれた。さらに、「中村屋のボース」と呼ばれた日本のインドカレーの父で、インド独立運動と近代日本のアジア主義の指導者でもあったラース・ビハーリー・ボースの生涯を描いた連載企画も読み応えがあり、高い関心を集めた。
これらすべての記事に共通したのが、苦難の克服だった。苦難の中には必ず希望があり、チャンスがあるのだと、これらの記事は示唆している。
毎年恒例となった「新年の一字」は今回、「飛」に決まり、ダウン症の書家、金澤翔子さんが揮毫(きごう)した。JFは今年、コロナ時代の苦難を克服し、チャンスを見つけ、大きく飛躍する年にしたい。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(JAPAN Forward編集部)
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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています