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International Women's Day 2023: Embrace Gender Equity for a Better World

 

(国際女性デー2023:より良き世界のために男女平等を進めていこう)

 

 

世界は、第三次世界大戦前夜の状況にあるのか―。そう思うほど、ロシアや中国と欧米の対立は深まり、軍事的な緊張は高まる一方だ。核兵器による恫喝や軍事費の急増が何よりそれを物語っている。

 

自由や人権といった価値観は大きく後退し、その代わりに排他的なナショナリズムがはびこり、世界は分断の中にある。

 

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独立広場に並ぶウクライナ国旗の小旗=2月22日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影©産経新聞)

 

新型コロナウイルスは弱者を襲い、経済格差を一層広げ、グローバル経済に深刻なダメージを与えた。自国さえよければいいという自国優先主義が蔓延し、ロシアのウクライナ侵略によってエネルギーや食糧の危機が顕在化し、分断に拍車がかかっている。

 

これだけ負の要素がそろっている世界に、希望はあるのだろうかと思えてくる。しかし、希望が世界から消えて無くなることはない。それを強く感じることができる記事が今月、英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)にいくつか掲載された。

 

上の英文(日本語訳)はそうした記事の1つが掲げた見出しだ。国際女性デーの8日に掲載された同記事では、JFがこの1年間に取り上げた女性の中から特に、自らの夢を達成するために全力で挑んでいる14人をまとめて紹介した。

 

フェンシング女子サーブルで世界ランキング1位となった江村美咲選手や、イスラム思想研究者の飯山陽さん、コンピューターのプログラミングブートキャンプ、コードクリサリス共同設立者のヤン・ファンさん、ノーベル平和賞を受賞したフィリピンのネットメディア、ラップラーの経営責任者、マリア・レッサさんらである。

 

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フェンシングの世界選手権で初優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる江村美咲=2022年7月20日、カイロ(日本フェンシング協会提供)

 

スポーツや文化、学術研究、ジャーナリズム、人権擁護活動、そして社会変革に必要な事業経営など、分野はさまざまだが、いずれもより良い世界を実現しようと日々、奮闘している女性たちだ。

 

がん治療の新たな道を模索する科学者の星野歩子さんは、細胞が出す「エクソソーム」と呼ばれる微粒子ががんの転移に関与していることを世界で初めてつきとめた。それは、人類のがんとの闘いにとって重要な発見となった。

 

「悪いエクソソームを取り除く方法を見つけることができれば、(がんの)転移を遅らせたり、防いだりすることができるかもしれない」からだ。

 

「偉大な研究は、多様性があってこそ生まれる」。そう確信する星野さんの研究室には、ジェンダーも、民族も、学歴もさまざまな背景の研究者が集まる。半分以上が女性研究者だ。女性たちが家庭の事情で研究職をあきらめないよう、個々人に合った柔軟な働き方を実践しているという。

 

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星野歩子さん(©東京工業大学)

 

実は、JFチームのメンバーもその半分が女性である。国籍や学歴、経歴もさまざまだ。共通するのは、日本への強い愛情である。チームの多様性が日本というカギによって力を発揮していることは、常々感じている。

 

JFは小さな存在にしか過ぎない。また、女性の力だけで世界が大きく変わることはないかもしれない。

 

それでもJFは、この闇深き世界に希望というタネをまき続ける女性が光り輝くことが世界を破滅の道から救うと信じたい。

 

分断の中、「和を以て貴しとなす」。聖徳太子による日本初の「憲法」はいまも輝きを失っていない。この日本の重要な価値観を合わせて世界に発信していきたい。

 

筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)

 

 

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2023年3月20日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています

 

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