【Tokyo Outlook】戦争はいつ終わるのか

A worker inspects a site in a residential area damaged during a Russian missile strike, amid Russia's attack on Ukraine, in Kyiv, Ukraine September 21, 2023. (©REUERS/Valentyn Ogirenko)

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(ウクライナ出身のモデルが「ミス日本」2024のグランプリに)

 

 

「ウクライナでの戦争はいつまで続くのか」

 

ロシアがウクライナへの大規模な侵略を開始して2月24日で丸2年。戦争が3年目に突入するのを前に、さまざまな人から質問される。

 

先日も、世界情勢に精通する欧米の外交官と直接、意見交換した際、いきなり「ロシアは欧州に攻め込むと思うか」と意見を求められた。この戦争が今後、何をもたらし、いつ、どのような形で終息するのか、世界は必死に探ろうとしているのだ。

 

手前味噌(みそ)で恐縮だが、英語ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)は、ロシア軍侵攻の3カ月余り前、「ロシアは2022(北京)冬季五輪に合わせてウクライナ東部に侵攻するだろう」と予測する記事を世界に発信した。本欄でもその後、「今冬、中露に最大警戒を」との見出しで、JFの記事を紹介し、警鐘を鳴らすコラムを掲載した。

 

ただ当時は、専門家のほとんどがロシア軍の大規模侵攻はないと踏んでいた。欧米への接近を図る同じスラブの兄弟国ウクライナに、ロシアが激しい憤りを抱いていることを、彼らは知っていたが、「ロシアが欧米と対立し、多くを失ってまでウクライナに軍事侵攻はしない」と考えていたからだ。

 

ウクライナ首都キーウで、ロシアのミサイル攻撃の後に立ち上る煙=2023年9月21日(ロイター)

 

なぜ、そうならず、JFの予測が的中したのか-。欧米の合理的な判断による予測に対し、JFは、ロシアの多数派を占める民族主義的な保守が世界をどのようにとらえ、何をしたいのか、ロシア側の論理で推論した。プーチン露大統領に聞いたわけではない。

 

侵攻を予測しても、戦争の終息時期やロシアによる欧州侵攻の可能性については正直、見通せない。だから、先ほどの外交官の質問には、記者(内藤)がかつて本紙モスクワ特派員として10年以上駐在し、強く感じた以下のような不安を伝えた。

 

ロシアの民族主義者たちは、欧米によってつくられた現在の世界を誤りだと否定し、いずれ自壊するか、破壊されるべきだと考えている。それでも、世界最大の国土と資源を持つロシアは生き残り、世界の救世主として神の使命を果たすことになる-。

 

少なくとも、彼らはそう信じているのだ。第三次大戦を望んでいる人たちもいる。なぜなら、欧米中心の世界が破壊された後、ロシアが世界を牛耳ることになると思っているからだ。

 

こうした考え方をする人とは当然、議論がかみ合わない。欧米の合理的な考え方では、ロシアの行動は予測できないだろう。

 

ウクライナ人国際政治学者、グレンコ・アンドリー氏は、本紙への寄稿「最大の原因はプーチン氏にあらず」の中で、「ロシアを論じるうえでは、ロシア国民の中の帝国主義的な意識を無視してはならない」と指摘していた。その通りである。

 

グレンコ・アンドリー氏

 

JFでこの1カ月で最も読まれた記事に、ウクライナ出身で日本に帰化した女性が「ミス日本」グランプリに輝いたとの記事が入った。上の英文(日本語訳)は、この記事の見出しだ。女性は妻子ある男性と不倫していたことが明らかになり、受賞を辞退する残念な結果を招いた。

 

19日には東京で、ウクライナ復興支援に向けた政府主催の会議が開かれる。ウクライナでの戦争は、いつ終わるのか、まだわからないが、必ずや終わるときがやってくる。

 

ウクライナ支援に積極的になれない国もあるが、支援しなければいずれウクライナは敗北を喫することになり、世界は新たな帝国主義の時代を迎える危険がある。日本は、その危険を世界に発信する拠点となることで、新帝国主義の勃興を阻止しなければならない。JFは、日本の動向を世界に伝えていきたい。

 

筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)

 

 

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2024年2月12日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています

 

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