Uyghur Women from Teens to 50s Forced to Undergo Traumatic Sterilization Procedure 004

Uyghur Women from Teens to 50s Forced to Undergo Traumatic Sterilization Procedure

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ケルビニュール・シディクさん

 

中国当局による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権弾圧で、オランダに亡命したウイグル人女性が11日までに産経新聞の取材に応じ、「不妊手術を強制された」と体験を語った。証言から、自治区で10~50代の女性が定期的に、避妊や不妊手術を強制されていた実態が浮き彫りになった。

 

この女性は区都ウルムチの元小学校教員、ケルビニュール・シディクさん(52)。2017年7月、産児制限だとして、医師に子宮内避妊具(IUD)を装着された。

 

「17年春、携帯電話のメッセージで、3カ月以内に地域の保健施設に来るよう通知が届いた。同じ地域に住む18~50歳の女性に一斉送信された」と回想する。

 

 

指定の施設に行くと、200人近い女性がいた。地下の小部屋に順次誘導され、女医からベッドに横たわるよう指示された。シディクさんは「体内に器具を入れられ、思わず悲鳴を上げた。自分の手をかみしめて耐えた」と回想する。措置は40分ぐらいで終わった。周囲の部屋から、女性たちの悲鳴が聞こえたという。

 

帰宅後、出血が続いたため、近所の医師にIUDを外してもらった。だが、18年春には再び召喚通知が来て、IUDを装着された。「体に合わない」と訴えても、医師は「すぐ終わる」と言うだけで取り合わなかった。シディクさんは11月、出血が止まらなくなり、約3週間入院した。再び、体内の器具を外した。

 

19年春、3度目の召喚通知が来た。対象年齢は18~59歳に広がっていた。シディクさんはIUD装着ではなく、不妊手術が必要だといわれた。卵管結紮(けっさつ)だった。「もう50歳だ。やめてほしい」と抵抗したが、聞き入れられなかった。注射を打たれ、意識を失っているうちに手術が終わった。

 

「警察が怖くて、誰も逃げ出せない。近所の女性同士でも、話せなかった。まるで監獄のような日々だった」と振り返る。19年秋、治療を理由に長女が滞在するオランダに出国を認められた。

 

ウイグル族に対する強制不妊疑惑は今年、米国務省の人権報告書にも記された。民族の出生阻止を禁じた「ジェノサイド条約」(集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約)違反だという指摘もある。中国外務省は「いわゆる強制不妊は全く根拠がない」と反論している。

 

強制不妊については、トルコ在住のウイグル族出身の女性元医師が本紙の取材にも、自治区で手術を施していた経験などを証言している。

 

シディクさんの証言に文書の裏付けはない。だが、携帯電話には20年春、再び届いたという通知が残る。18~59歳女性を保健施設に呼び出す内容だ。「中国が強制不妊を否定するなら、なぜ現地で外国人に自由な調査を認めないのか。これは女性にとって、屈辱的な話。私たちがでっちあげる理由がない」と話す。

 

筆者:三井美奈(産経新聞パリ支局長)

 

 

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