Australian Defence Force Support to Tonga

A Royal Australian Air Force P-8 Poseidon aircraft prepares to depart RAAF Base Amberley, Queensland to assess the damage to Tonga after the eruption of an underwater volcano triggered a tsunami and blanketed the Pacific island with ash, in Amberley, Australia January 17, 2022. LACW Emma Schwenke/Australian Department of Defence/Handout via REUTERS ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY. NO RESALES. NO ARCHIVE.

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フンガトンガとフンガハアパイで発生した巨大な海底火山爆発により、通信、交通が途絶し、島国は清潔な水の供給もままならない状態になっています。

 

1月15日、トンガで起きた大規模な火山爆発がニュースに。トンガの首都ヌクアロファに住む友人で、トンガ放送局の元理事のナニセ・フィフィタ女史のFacebookに、その時の映像が投稿された。

 

通信は大丈夫だ、と安心していたら、トンガからフィジーにつながる唯一無二の海底ケーブルが破損していることが確認された。修理には2週間かかるという。海底ケーブルを修理する船は、パプアニューギニアにおり、現在トンガに向かっているとのこと。

 

トンガとの通信は、まったく途絶えたわけではない。限られた量の情報を衛星で送信している。

 

フンガトンガとフンガハアパイの水中火山爆発は、翌16日(日)には世界のニュースとなった。

 

 

噴火後のニーズを見極める

 

トンガの人口は約10万人で、多くの国民が世界各地に移住している。

 

ニュージーランドには8万人以上のトンガ人がいる。トンガとニュージーランドは、同じポリネシアの国であり、イギリス連邦の一員であることから、密接な関係にある。ニュージーランドからの情報をフォローした。

 

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、「大きな被害はなく、首都ヌクアロファは大丈夫だが、火山灰で飲料水に被害が出ている」と述べた。島の水道は、各家が雨水を集める集水システムになっている。雨の中には火山灰がたくさん含まれている。トンガの人たちは、どうしてもペットボトルの水の供給が必要だ。また、170もの島があり、特に離島の全貌を把握するのは難しい。

 

1月17日(月)の朝、ニュージーランドのP-3オリオンがトンガに向った。ニュージーランドの軍艦も救援物資を積んでトンガに向かう予定だが、到着するまでには数日かかるという。同日、オーストラリア空軍のP-8偵察機もトンガに向かった。大量の火山灰のため、空路でどの程度状況を把握できるかは不明だとのこと。

 

 

トンガの通信を支える

 

一方、デジセルの国内モバイルタワーは、首都のトンガタプ島全域で稼働している。また、デジセル社は衛星通信の整備を進めていまる。そんな中、火山に近いハアパイ島からの詳細な画像がFacebookにアップされた。どの通信回線を利用したのだろうか。1997年、日本政府主催の第1回太平洋・島サミットで、日本がニュージーランド、オーストラリアと共同で南太平洋大学の独自の衛星通信網「USPNet」の整備を支援することが合意された。トンガは首都ヌクアロファのほか、離島のハアパイ島とヴァヴァウ島に同大学のキャンパスがあり、これらのキャンパスはUSPNetのネットワークに接続されている。25年前に日本のODAで行われた情報格差支援が、こんなときにも役立っているのは嬉しいことだ。離島に設置されたUSPNetは、2015年にバヌアツを襲った大型サイクロンの際にも活躍したている。実は、トンガは太平洋の島国で初めて通信の規制緩和を行った国である。長年、旧宗主国であるイギリスのケーブル・アンド・ワイヤレス社が独占的に運営し、離島へのアクセスは制限され、国際通信料金も高く設定されていた。前国王であるトゥポウ5世が、通信改革に踏み切ったのである。

 

 

日本からの支援で関係強化

 

ITオタクと呼ばれたツポウ5世は、先端技術に強い関心を持ち、自ら携帯電話会社を経営していた。また、ツポウ5世は、オックスフォード留学時に三笠宮寬仁親王と親交を育まれ、日本の皇室とも交流があった。私がトンガの民主化について尋ねたとき、「私は民主化を進めるし、トンガの王室を日本の皇室のようにしたい」と言われたことが強く印象に残っている。日本をはじめ、世界各地に多くのトンガ人が暮らしている。頭脳流出と批判される人口移動とは異なり、トンガ人は常に故郷の家族や親戚と連絡を取り合っている。それが島社会の伝統的な価値観なのだ。10年ほど前までは、人口の少ない島へのインフラ支援は費用対効果の観点から否定されていた。同じ島でも、例えば人口5万人の石垣島は、日本という国の枠組みの中で先進国並みの公共サービスが受けられる。そこには日本には「津々浦々」という伝統的なユニバーサルサービスの精神がある、とも言えよう。 国家を超えた津々浦々精神、ユニバーサルサービスを可能にする機会だ。

 

南太平洋には、米軍の基地であるアメリカ領サモアと、フランス軍の基地であるニューカレドニアがある。日本には太平洋に自衛隊の基地はないが、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、フランスと連携して、災害救助やインフラ支援に積極的に取り組んでほしい。

 

筆者:早川理恵子博士(同志社大学大学院法学研究科公法学・パラオ国家安全保障局海洋安全保障アドバイザー)

 

 

この記事の執筆は1月17日で、英文掲載翌日の20日、本当に自衛隊の派遣が岸防衛大臣から発表された

 

 

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