Inner Mongolia in Japan anti-China rally 003

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中国共産党が創建100年を迎えた7月1日に在日のウイグル、香港、チベット人らが東京都内で行ったデモ活動をめぐり、中国当局が事前に内モンゴル自治区の出身者に対し、その家族や友人らを通じてデモに参加しないよう強要していたことが9日、分かった。参加すれば親族を収監するとの脅迫もあったという。中国政府は内モンゴル自治区でモンゴル語や民族文化の剝奪を進めており、在日モンゴル人にも圧力をかけている実態が明らかになった。

 

デモ活動は中国共産党の弾圧による犠牲者を悼むため、新疆(しんきょう)ウイグル、内モンゴルの各自治区や香港の出身者ら約200人がキャンドルを手に練り歩いた。内モンゴル出身者は30~40人ほどの参加を想定していたが、約10人にとどまった。内モンゴル出身者の参加予定者らは中国当局によって事前に把握され、自治区で暮らす関係者を通じ、参加の取りやめを求める連絡があったためとみられる。

 

 

中国の弾圧政策に抗議する民族団体「南モンゴルクリルタイ」のオ・ウルゲン副会長には、複数の知人や親族からデモに参加しないよう訴える電話があった。長年の抗議活動で今回ほど多くの電話があったのは初めてだという。ウルゲン氏は産経新聞の取材に「中国当局が私の知り合いを総動員して圧力をかけたのだろう」と語る。

 

ウルゲン氏は自治区に残した不動産や預貯金などが凍結されている。中国の警察官を名乗る人物は「今回のデモ活動に参加しなかったら財産を戻す」と伝えてきたが、ウルゲン氏は予定通りデモに参加した。

 

 

別の内モンゴル自治区出身の男性も脅迫活動を受けていた。自治区で暮らす男性の兄のもとを中国の情報機関の関係者が訪ね、「男性(弟)をデモに行かせなければ一軒家を建てることを応援する。デモに行けば(自治区で暮らす)親族を刑務所に入れる」といわれたという。

 

最近、抗議デモに参加するようになった自治区出身の女性には家族や昔の同級生ら約20人から連絡があったという。後で確認すると、中国の警察官が隣にいて電話を強要されていたという。女性は「自治区外にいる人が(中国政府に)圧力をかける行動をしないと中国当局の思い通りになってしまう」と現状に懸念を強める。

 

一方、今回のデモに参加した香港やウイグル人に対して中国当局が不参加を求める動きはなかったようだ。その理由について南モンゴルクリルタイのオルホノド・ダイチン幹事長は「ウイグルや香港に比べて、モンゴルの抗議活動は組織面で弱い部分がある。中国共産党の脅威になる前に、活動を潰しておく狙いがあったのではないか」と推測する。

 

内モンゴル自治区出身で静岡大の楊海英(よう・かいえい)教授は産経新聞の取材に対し「この地域は中国当局が目下、最も神経をとがらせている。背後に独立国(=モンゴル国)があり、内モンゴル自治区との統一を警戒しているためだ」と語った。

 

筆者:奥原慎平(産経新聞)

 

 

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