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フランスのアラン・リシャール元国防相が率いる上院議員団が10月5日、台湾への訪問に出発する。仏上院関係者によると、3日間滞在し、蔡英文総統ら要人と会談する予定。一方で在仏中国大使館は声明で「一つの中国」原則に反すると強く抗議し、「フランスの国益を害しかねない」と報復を示唆した。
欧州連合(EU)からは昨年夏、チェコ上院議員団が台湾を訪問しており、大国フランスからの議員団訪問は、EUと台湾の接近への追い風となる。
リシャール氏は1997~2002年に仏国防相を務め、現在はマクロン大統領の与党「共和国前進」の会派に所属する。訪台団には、同氏を含めて与野党の4議員が参加する予定。仏上院では5月、世界保健機関(WHO)など国際機関への台湾参加を促す決議案を採択している。
今回の訪問は、台湾の民主主義を支援するのが狙いで、「一つの中国」原則には反しないとの立場だ。仏外務省は今春、議員団の訪台計画が浮上した際、「国会議員は自由に訪問を決められる」として、不介入の方針を示した。
EUでは中国への警戒感が高まる中、台湾との関係を探る動きが出ている。9月に発表されたEUのインド太平洋戦略案は、投資のほか、半導体などの戦略的物資の供給網作りで、台湾と連携する方針を明記。スロバキア、リトアニア、チェコの3カ国は近く、台湾からの代表団を受け入れる予定になっている。
筆者:三井美奈(産経支局パリ支局)