Coronavirus Interview ANA CEO Shinya Katanozaka

 

 

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、航空会社の経営に大きな打撃を与えている。入国制限や国内移動の自粛で需要が大幅に落ち込み、路線の縮小が止まらない。国内航空最大手の全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスの片野坂真哉社長は4月2日までに、産経新聞の単独インタビューに応じ、国内航空業界全体の年間の減収が2兆円に達するとの見通しを示した。雇用への影響も表面化し、戦後最大の逆風を「厳しい覚悟」で臨む構えだ。

 

主な一問一答は以下の通り。

 

 

生き残りへ「あらゆる手段」

 

世界各国が移動を制限している

 

航空業界は人が動くビジネスなのに、「人が動くな、国と国を移動するな」という状態なので、世界中、日本中の航空会社が、大きく影響を受けている。全日空の運休や減便は国際線は8割、国内線も3割だ。これからさらに、各国の移動制限が拡大すると、早晩、ゴールデンウイーク期間中の休止減便もやっていくことになる。

 

減便や運休で減収が拡大するが、どう対処していくか

 

生き残らなければならないのであらゆる手段を尽くす。財務体質はしっかりしているが、手元のキャッシュフローが止まると息の根が止まるので金融機関から借りる。羽田から新規路線が就航することもあり、飛行機も多数、納入予定だったが、A380の3機目は納入を延期する。

 

 

客室乗務員の休暇や役員報酬減額も

 

社員の待遇などは

 

雇用は守るが(運休や減便で)非常に余る。客室乗務員には給与を払いつつ順番に休んでもらう。一般社員の賞与には手を付けたくはないが、業績連動なのでこれから労組と協議する。これだけ減収が大きいと賞与への影響も出るだろう。役員報酬の減額も判断せざるを得ない。

 

業績の見通しも立ちにくい状況だ

 

3月発表予定だった令和2年度からの3カ年の中期経営計画も発表を延期した。注力する事業などプログラムはできているが、2年度の業績がどこまで落ち込むかはっきりしないと説明できないからだ。昨年の段階では、中期経営計画の議論は基本的には明るい将来を描くものだったが、米中貿易摩擦などを背景とした景気後退があるかもしれないということで、過去の景気後退の際の対策の見直しも行っていた。そうすると、(景気後退が)現実になってしまった。

 

 

第二次大戦以来

 

国内航空業界の減収見通しは

 

3月23日に(全日本空輸の)平子(裕志)社長(定期航空協会会長)が政府のヒアリングで1兆円と言ったが、あれから1週間で倍ぐらいになったという認識で(平子氏と)一致している。減収影響は2兆円の勢いという感じだ。あらゆる業界が影響を受けている。独メルケル首相は第二次世界大戦以来と言っていたが、覚悟としてはそれぐらい厳しいもので臨まざるを得ない。

 

収束後には政府も観光支援を打ち出す方針だ

 

運輸観光業中心にかつてない景気浮揚策を打ち出すということなので、それに対応する機材や人員の体制を整えていないといけない。政府はクーポンや旅行券で支援することになると思うが、人間はやはりアクティブに移動したいもの。ビジネスや観光で移動したいという思いは消えないと思う。

 

筆者:大坪玲央(産経新聞)

 

 

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