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韓国で、元慰安婦の李容洙氏が支援団体の元代表、尹美香氏を寄付金使途不明などで激しく批判したことを契機に、不正会計、寄付金横領疑惑、活動の政治利用などが連日暴露され、ついに検察が本格的捜査に入った。

 

 

募金流用など疑惑続出

 

元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧称は挺対協=挺身隊問題対策協議会)の会計報告が収入額と支出額の不一致などずさんだった上、支出先とされているビアホールや葬儀会社は代金を寄付したと証言し、裏金づくりの疑惑も生じた。

 

また、募金集めに尹氏の個人口座が使われたことや、尹氏の預金が3億ウォン(約2600万円)あり、ローンを組まず現金で2億ウォン(約1700万円)のマンションを買い、1年に1億ウォン(約860万円)程度かかる米国の大学に娘を留学させていることなどから、募金の流用が疑われている。

 

それだけでなく、尹氏が親北活動家の夫らと一緒に、北朝鮮から亡命した食堂従業員の女性らを北朝鮮へ戻すため説得工作を行っていたことも暴露された。夫らは、北朝鮮の革命歌謡を歌い、北朝鮮の独裁者を称賛する言動をしていたというから驚きだ。

 

元慰安婦の李氏は、①支援団体がソウルの日本大使館前で行っている水曜集会は憎しみを煽り解決につながらない ②先月の韓国総選挙で与党比例代表として当選した尹氏が国会議員になることに反対する―とも訴えた。

 

しかし、尹氏らの偽善は問題の一部に過ぎない。日韓のマスコミは沈黙しているが、李氏が尹氏批判に踏み切った背景には、慰安婦問題それ自体の虚構性が表面化してきたことがある。

 

 

慰安婦問題の虚構打破の契機に

 

李氏は最近、元慰安婦としての自分の証言の信ぴょう性に韓国内で疑問が提起されているのに、尹氏や挺対協が守ってくれないと不満を吐露していたという。

 

李氏は1993年に挺対協が出した証言集で、貧困のため家出して日本人の女衒(ぜげん、周旋業者)について行って慰安婦になったと述べ、女衒から赤いワンピースと革靴をもらってうれしかったと語っていた。ところが、その後、日本軍に強制連行されたと証言を変えた。その点を2018年、インターネットニュース「メディアウォッチ」の黃意元記者が詳細に取材して長文の記事を書いた。すると、尹氏らは黃記者に抗議せず、むしろ李氏を運動から遠ざけ始めた。

 

昨年出版され、韓国でもベストセラーになった『反日種族主義』は慰安婦の強制連行・性奴隷説を否定し、貧困による人身売買だったとの説を提示した。昨年12月から毎週水曜日に日本大使館前で、黃記者や『反日種族主義』の著者らが、挺対協の集会に対抗する慰安婦像撤去集会を持ち、そこで挺対協の証言集を手に取って、強制連行・性奴隷説は虚構であり、慰安婦は貧困のために売られたのだと演説している。

 

日本ではすでに、朝日新聞などが1990年代初めに火をつけた慰安婦強制連行キャンペーンは捏造だったことが広く知られるようになった。ついに韓国でも真実の力がウソを打ち破る日が来るのか、固唾を飲んで見守っている。

 

筆者:西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 

 

国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第683回・特別版(2020年5月25日)を転載しています。

 

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