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浜田靖一防衛相は10月26日の産経新聞のインタビューで、国家安全保障戦略(NSS)をはじめとする「安保3文書」改定に向けた展望などを語った。主なやりとりは次の通り。
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――北朝鮮の核・ミサイル開発に対しどう防衛力を強化していくか
「北朝鮮が極めて速いスピードで弾道ミサイル開発を継続的に進めている。発射兆候の早期把握や迎撃がより困難になっている。ミサイル防衛を強化する不断の努力が重要だ。いわゆる『反撃能力』(敵基地攻撃能力)も含め、あらゆる選択肢を排除せずに検討し、防衛力の抜本的強化に取り組む」
「防御する態勢と反撃能力という2本立てでないと説得力がない。議論が重ねられて抑止力につながっていくのではないか」
――反撃能力の保有で専守防衛が変質するとの指摘に対しては
「反撃能力は抑止という意味が極めて大きい。あくまで憲法の範囲内なので専守防衛の観点から先制攻撃には至らないものを考えていく。攻撃前段階の外交力が大変重要で、そのために米国などとの連携を構築している。『撃たれる前にやること』をしっかりやり、われわれの姿勢を目に見える形で出していくのが重要ではないか」
――ミサイル発射などに備えた緊急一時避難施設(シェルター)の整備など、装備品取得以外で注力したいことは
「政府として従前から国民保護のための避難施設について検討しているが、防衛省としても国民保護のために何ができるか検討していきたい。国民にその必要性を感じてもらうことは重要だ。シェルターは相手(国)に対して『撃ってもむだだ』と伝える抑止の手段とも考えられる。年末に向けて議論する中でぜひ強く言っていきたい」
――3文書をめぐる与党協議は難航も想定される
「もんでもらったほうがいい。それがなくて決まることのほうが違和感を覚える。歴史的な転換期に思い切った議論をしてもらうことが極めて重要だ。それを乗り越えて『日本に合った防衛力』というものを持っていかなければいけない。国民に分かりやすい議論をしてもらうということが重要だと思うので、懸念はしていない。徹底的にやってもらえればと思う」
――防衛力強化に向けた政府の有識者会議の議論について
「有識者会議でいろいろな意見が出るのは当たり前の話だ。議論を重ねていくことが非常に重要だ。防衛省の考え方をしっかりとぶれずに主張していく」
「今回の試みはものすごいチャレンジだ。岸田文雄首相が一歩踏み出したわけだから、指示を愚直に前に進めていく」
――5年前や10年前とは安全保障を取り巻く状況が異なる
「国民も今の安全保障環境をどこまで憂慮しているのか、政治家が思い切った議論をするのが重要だ」
――以前に「存在する自衛隊から行動する自衛隊に変わって久しい」と発言したが、これからどういう自衛隊にしたいか
「国民の意思をどう体現していくかが新しい自衛隊に求められる。われわれはあくまでも国民の意思を反映して動くので、決して勝手な判断はできないが、果断に判断しなければいけない部分もある」
聞き手:市岡豊大、松本学(産経新聞)