Lunar eclipse

A spectacular total lunar eclipse (©Sankei)

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2022年目玉の天体ショー

 

「皆既月食」と「天王星食」が同時に起こる、極めて珍しい天体ショーが11月8日夜に観測された。「皆既月食」は太陽、地球と月が一直線に並び、満月が地球の影に入ると赤黒く見える天文現象。さらに月の西側から天王星が月の裏側に入り込み、やがて東側に抜けて再び姿を現す「惑星食」の一連のシーンに多くの人が魅了された。

 

11月8日に山口県美祢市で見られた皆既月食。左から午後6時、同20分、7時、同59分、8時42分、9時、同40分。中央が皆既食の状態(共同)

国内で「皆既月食」と「惑星食」が同時に観測されたのは、1580年7月の事例以来、実に442年ぶりで、次回は遥か未来の322年後とされる。

 

 

都会のビル屋上での観察

 

この日、東京・六本木の六本木ヒルズ森タワーの屋上展望台(海抜270m)には事前申し込みをした約100人の一般客が今年最大の天体ショーの観望に訪れた。「観望会」は「六本木天文クラブ」と称され、用意された3台の大型望遠鏡に子供から大人までが「特別天文ショー」を天文の専門家の解説付きで体感して感動を味わった。当日は平日だったが、「勤務先の東京・上野の会社から勤務が終わって即この観望会に駆けつけました。こんな素敵な天体ショーをライブで観望できたて本当に幸せです。」と興奮気味に語る女性の姿も。

 

東京・六本木ヒルズ屋上展望台での「皆既月食」観察会(海藤秀満撮影)

 

六本木天文クラブでは「星空観望会」や「天文に関するセミナー」が年間数十回開催されている。都心に聳え立つ超高層ビルの屋上を自然観察に有効活用している珍しい試みで、2009年に始まった。

 

かつて、「東京の夜空では天体観測が難しい」とされた時代もあったが、六本木ヒルズの屋上では美しい星空が1年を通して楽しめる。「六本木ヒルズ展望台から望む月」は、夜景観光コンベンション・ビューローが認定した「日本百名月」の1つにも選ばれている。

 

万博記念公園駅近くで観察された皆既月食。天王星潜入開始時=11月8日午後8時31分、大阪府吹田市 (安元雄太撮影)

 

次回のチャンスは?

 

次回、「皆既月食」が観測できるのは2025年9月8日の予定。

 

年内には「六本木天文クラブ」の以下の天文観望会も予定されている。

 

12月1日:「火星を楽しむ会」
12月14日:「ふたご座流星群観望会」

 

ビル屋上で天体ショーを堪能する人たち(海藤秀満撮影)

 

「皆既月食」と「天王星食」が同時に起こった。月の左下に見える白点が天王星=11月8日、東京・六本木ヒルズ屋上展望台(海藤秀満撮影)

 

展望台での天体観望会の様子(海藤秀満撮影)

 

天文現象の観察は天候や大気の状況にもよるが、宇宙の神秘を学ぶよい機会でもある。ビル屋上は風も強いので、防寒対策と帽子など飛ばされないような対策も必要だ。

 

筆者:海藤秀満(JAPAN Forward)

 

参考
六本木天文クラブの予定:https://tcv.roppongihills.com/jp/tenmon/

 

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