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バイデン米大統領がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談した。
バイデン氏はイスラム原理主義組織ハマスによる奇襲攻撃を非難し、「イスラエルが自衛のために必要なものは全て提供する」と述べ、同国への連帯を強調した。
どのような理由であれハマスの軍事行動、テロ行為は許されない。最大限の非難に値する。多くの民間人やイスラエル軍兵士を人質にとっているのも明確な国際人道法違反だ。
イスラエルの自衛行動は正当な権利で誰にも止める権利はない。バイデン氏が連帯や支援を表明したのは当然といえる。
ただし、バイデン氏は会談後の演説で、「怒りにのみ込まれないでほしい」と述べ、イスラエル側に過剰な武力行使は自制するよう求めた。
バイデン氏は今回の訪問でパレスチナ自治政府のアッバス議長やエジプトのシーシー大統領らとの会談も予定していた。
だが、訪問直前にガザ地区北部で病院が攻撃されて多数の民間人が犠牲になったことを受けて会談はキャンセルされた。
ハマスや多くのアラブ諸国はイスラエルの攻撃と主張し、イスラエル軍はハマスとは別の過激派の誤射と反論した。
バイデン氏も10月18日、米国防総省の情報を根拠に「ガザのテロリスト集団が発射したロケット弾により引き起こされたようだ」と語った。
攻撃したのが誰であれ、病院への攻撃は国際人道法違反であり絶対に許されない。
バイデン氏はパレスチナ、アラブ側との会談に失敗したものの、ガザへの人道支援をネタニヤフ氏に確約させた。シーシー氏との電話会談でも同様の言質を取った。
エジプトからガザ地区へ食料や水、医薬品を搬入することになるが、成功させてほしい。ハマスの手に支援物資が渡ることがあってはならない。
ハマスの人質になっている人々の救出も急がれる。国連や関係各国は連携し即時解放をハマスに迫らなければならない。
バイデン氏は、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」に向けた和平プロセスの重要性も強調した。戦火を鎮め、対立の構図を緩和するのは極めて困難な道だが懸命な努力を続けてもらいたい。
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2023年10月20日付産経新聞【主張】を転載しています