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最先端のデジタル技術の祭典「CEATEC 2023」が千葉・幕張メッセで10月17日から20日まで一般公開された。グローバルエリアには8カ国の海外パビリオンが展開され、初出展したウクライナのIT企業に注目が集まった。
4年ぶりの完全リアル会場
CEATECは新型コロナウイルス感染の影響で2020年から2年間はオンラインのみの開催、22年はオンラインとリアルのハイブリッド方式で開催された。23年は4年ぶりに完全リアルでの開催となった。今年のテーマは、「サステナブルな社会の実現」「AIなどの技術を活用したデジタル社会基盤の構築」「官民連携によるデジタルを活用した地方創生」などの最先端技術だ。
多彩な情報発信が企画された中で注目されたのが、グローバルエリアに出展した8カ国・地域のパビリオンだった。米国、カナダ、フランス、UAE、台湾、フィンランド、デンマークとウクライナ。なかでも、総務省による招聘企画で初参加したウクライナからはIT企業11社と政府機関が出展した。
現在本国が戦時中でもあるが、電子機器やIT産業はウクライナが得意とする第2の輸出産業で、約2300社、36万人以上が従事している。同国からの出展は、彼らの最先端技術を知る機会であり、ウクライナ企業との交流や日本企業の新たな海外展開のきっかけにも繋がったようだ。
駐日ウクライナ大使も大臣を出迎え
10月17日の一般公開日初日には、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が、同国パビリオンを視察した鈴木淳司総務大臣と河野太郎デジタル大臣を出迎えて案内した。鈴木総務大臣はタッチ技術でテーブル上にメニューやゲームなどが表示されるスマートテーブルに興味を示した。河野デジタル大臣は2021年に日立製作所の傘下に入ったグローバルロジック・ウクライナの自動車関連IT技術や医療技術を熱心に視察した。
心臓の遠隔モニタリングサービスがグローバル部門賞に
遠隔での心臓モニタリングを実現するサービスを提供している、カーディオモ社がCEATECで今年新設された「グローバル部門賞」の準グランプリを受賞した。これは、病院外にいる患者の遠隔心臓モニタリングと診断を支援するウエラブル機器とサービスだ。患者から離れた場所にいる医療関係者が、患者のウエラブル機器とクラウド解析システムから心臓の状態を把握でき、重篤化のリスク回避と予防につながるとされる。
戦時下でも経済活動
戦時下のウクライナで企業活動、経済活動が支障なく行われているのかを出展者に聞いたところ、「確かに、農業従事者らは経済活動が思うようにできず、住居やオフィスなどのインフラを破壊されて失った人は不自由な生活、不安な生活を送っている。だが、IT関連の産業に関してはオンラインで仕事ができる。避難先の国からも仕事はできるし、戦時下ゆえに閃くアイデアも、ビジネスとしてスピーディーに実現する機会にもなる。私たちは決してあきらめない精神で世界に必要とされるサービスを提供していく」と答えた。
筆者:海藤秀満(JAPAN Forwardマネージャー)