IAEAのグロッシ事務局長が東京電力・柏崎刈羽原子力発電所について「今の段階で再稼働できると確信している」と語った。
202104 Kashiwazaki Kariwa Nuclear Power Plant 002

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機

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国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が東京電力・柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)について「今の段階で再稼働できると確信している」と語った。

同発電所の視察を踏まえての発言だ。グロッシ氏が柏崎刈羽原発を訪れた18日には、原子力発電の最大限の活用などを柱とする第7次「エネルギー基本計画」が閣議決定されている。

同氏は「(東電が)これまで続けてきた安全性や核セキュリティーでの取り組みが結実している」とも述べた。原子力の平和利用を目的とする国際機関のトップの時宜を得た声として重く受け止めたい。

平成23年の東日本大震災後から停止中の同原発6、7号機は原子力規制委員会の安全審査に合格しており、7号機は昨年4月にウラン燃料の装荷を終えている。だが、再稼働に必要な新潟県の花角英世知事の同意が得られない状態が継続中だ。

花角氏の慎重な姿勢は、県民の気持ちを見極めるための苦慮によるものであるにしても、あまりに長い。柏崎刈羽原発の安全対策を独自に確認してきた新潟県の技術委員会も今月12日に22項目の確認事項の大部分は現時点で問題となる点がないとの報告書をまとめ、花角氏に提出しているではないか。

吹雪の中、柏崎刈羽原発を視察するIAEAのグロッシ事務局長(右から2人目)=2月18日午後、新潟県刈羽村(本田賢一撮影)

同原発7号機は構造上の安全性を高めた改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)という新鋭機だ。出力は135・6万キロワットで国内最大級の発電能力を備えている。同機が再稼働すれば首都機能を脅かす火力発電所のトラブルや寒波、酷暑による電力需給の切迫も緩和される。

東電の経営状況は改善され、その効果は福島第1原発の廃炉事業の促進に直結し事故被災地の復興を支えることになる。

新潟県民が使わない電気を県内の原発でつくることを疑問視する声もあるが、偏狭に過ぎないか。また地元の柏崎市と刈羽村が柏崎刈羽原発の早期再稼働を求めていることを無視するのか。両市村は県内で原発と最も密接に関係する自治体だ。テロ対策施設の完成も急がれる。

人工知能時代の企業立地の促進にも脱炭素安定電源である原子力の活用が欠かせない。花角氏には新潟県のみならず、日本の国益とエネルギー安全保障の国際情勢を視野に収めた上での前向きの決断を求めたい。

2025年2月27日付産経新聞【主張】を転載しています

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