
東京都議選の横断幕が掲げられた東京都庁=東京都新宿区(梶山裕生撮影)
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東京都議選(6月22日投開票)が13日に告示された。
参院選の前哨戦とも位置付けられるが、防災や少子化対策など首都東京が抱える課題は多岐にわたる。全国の自治体にも波及するような、真摯(しんし)な政策論争を期待したい。
都議選には、定数127に対しおよそ300人の立候補が予想される。各党は最近の物価高への対策として、賃上げ促進や家計支援、家賃補助などを公約の柱に掲げるが、その効果や財源を含む実現可能性を明確に説明すべきだ。
中長期的な政策も後回しにはできない。中でも競い合うべき争点は、都民の生命に直結する防災対策である。
都の想定では、首都直下地震が起きれば約10万人が死傷し、約300万人が避難を余儀なくされる。懸念される富士山噴火でも、大量の火山灰により都市機能はマヒする。そうした事態にどう対処すべきか。有事に備える地下シェルター(防空壕)の整備も急ぐ必要があろう。

首都の治安維持では、外国人の不法滞在や不法就労への対策強化が求められる。外国人問題を巡る施策は政府の骨太方針に盛り込まれる見通しで、連携して取り組んでほしい。
少子化対策も問われる。令和6年の人口動態統計で、都の「合計特殊出生率」は2年連続で1・0を下回り、全都道府県で最低だった。小池百合子都知事が推進する都の子育て支援策が適切かどうか、チェックするのも都議会の役目だ。
選挙活動のあり方にも留意すべきである。6年7月の都知事選では、ポスター掲示板に動物や全裸に近い画像を貼るなどの問題が続出した。同年11月の兵庫県知事選では、SNSなどで候補者への誹謗(ひぼう)中傷や虚偽情報が飛び交った。

公正で秩序ある選挙は、民主主義の根幹だ。それを揺るがす行為は許されない。
投票率の向上も課題である。過去3回の都議選の投票率をみると、平成25年は43・50%、29年は51・28%、令和3年は42・39%で、20代ではいずれも3割未満だった。
都の人口は約1420万人で、今年度の予算総額は17・8兆円にも及ぶ。安全な暮らしを維持できるかどうかは、有権者の選択にかかっていると、肝に銘じたい。
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2025年6月13日付産経新聞【主張】を転載しています
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