(日本製AI「KIBIT」は創薬のゲームチェンジャーとなるか?)
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The G7 Summit Underway in Kananaskis, Western Canada

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AI Tool 'KIBIT': A Game Changer in New Drug Development

日本製AI「KIBIT」は創薬のゲームチェンジャーとなるか?

石破茂首相が参加する先進7カ国首脳会議(G7サミット)がカナダで開幕する。東西冷戦後かつてないほど世界が分断する中での開催だ。しかも、米国のトランプ大統領が打ち出した高関税措置などで、団結すべきG7内にも不協和音が鳴り響く。

先週、トランプ米政権の高官と話す機会があったので、今回のG7サミットでどんな成果を期待できるか単刀直入に尋ねると、「正直、何も期待していない」との答えが返ってきた。関税協議が続く中、サミット直前、あるいはサミット中に交渉が妥結することを願うだけだと述べた。

事務方がどれだけ頑張って交渉をまとめようとしても、ボスであるトランプ氏が最終的に首を縦に振らなければ、交渉は振り出しに戻るからだという。結果は「私たちにも予測不能だ」と言明した。

トランプ米大統領(AP=共同)

岸田文雄前首相は先日の産経新聞のインタビューで「G7の結束の乱れを期待しているのは中露だ」と強調したが、その通りだろう。

ただ、G7の結束が乱れても、日米が協力できることはあると、前出の高官は力説した。

民間シンクタンク国家基本問題研究所は、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺で、中国側が領海侵犯を頻繁に繰り返すほか、先日発生したヘリコプターによる領空侵犯の事案を分析、中国側が「いずれ尖閣に上陸する」との結論をまとめて政府に対応を求めた

同高官は、日本は近隣で基地や滑走路を増強し、日米の部隊がいつでも展開できる体制を整え、領土拡張の野望を砕くために中国側にそれを見せるべきだと述べた。分断する世界でも確かにできることはある。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺を航行する中国海警局の船。ヘリコプターが飛び立った=5月3日(海上保安庁提供)

英語ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)のサポーターの中には、製薬分野のピンチをチャンスに変えようと挑戦する日本企業もある。

コロナ禍は世界に創薬の重要性を再認識させた。しかし、現代の創薬には巨額の資金がかかる。トランプ氏は高騰する薬価引き下げを命じ、製薬業界は大騒ぎとなっている。薬価を抑える手段として注目されているのが人工知能(AI)を使った創薬だ。

日本のAI企業、FRONTEO(守本正宏社長)は、医学・薬学関係の膨大な論文情報から新薬を提案するAIエンジン「KIBIT(キビット)」を世界に先駆けて開発した。

上の英文(日本語訳)は、同社がJFに寄稿した日本製創薬AIの記事の見出しだ。11日に英語と日本語で掲載された記事は、早くもトレンディング記事の上位に入っているのでぜひ読んでいただきたい。

同記事によると、人間の考えには、知らず知らずのうちにバイアスがかかっている。先入観にとらわれず、論文からターゲットとなる分子を探し出すのは、手練れの研究者であればあるほど難しい。経験という名のバイアスが「新たな発想」を阻害するという。

新薬や治療法の探求(スクリーンショット、©FRONTEO Inc)

「KIBIT」はそれを防ぐ。効率的に革新的な新薬が創れれば、トランプ氏に言われるまでもなく、必要な患者に適切な価格で薬が届く世界が実現すると断言する。日の丸AIが世界で「売れる新薬」を創る時代がやってきたらなんと素晴らしいことか。吉報を待ちたい。

G7サミットで大きな成果がでなくとも、希望はある。

「獺祭」で世界に知られる日本酒の酒造メーカー、旭酒造が1日、株式会社獺祭に社名変更した。桜井一宏社長がJFとのインタビューで「伝統こそ変化しなければ生き残れない」と語っていたのが実に印象的だった。一読の価値ありだ。

JFは分断する世界でも希望を持ち、ともに前進する仲間を募りながら成長していきたい。

筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長 内藤泰朗)

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2025年6月16日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています

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