フジ・メディア・ホールディングスの定時株主総会が開かれ、専務の清水賢治氏が社長に就くなど11人の取締役選任が承認された。新体制のもと再生策を着実に進め、信頼回復を図ってほしい。
Fuji Media Holdings Shimizu

フジ・メディア・ホールディングスの社長に就任し会見する清水賢治氏=6月25日午後、東京都港区(鴨志田拓海撮影)

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フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の定時株主総会が開かれ、専務の清水賢治氏が社長に就くなど11人の取締役選任が承認された。

新体制のもと再生策を着実に進め、信頼回復を図ってほしい。

元タレントの中居正広氏と元アナウンサーの女性とのトラブルを巡り、会社側の対応が厳しく批判された中での株主総会だった。会社側は冒頭で問題を謝罪し、フジテレビ社長を兼任する清水氏が再生計画に基づき「大胆な改革と成長への取り組みを進める」と語った。

株主総会には、会社側提案の人事案のほかに、大株主の米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツが別の取締役候補12人の選任議案を提出していたが、退けられた。株主は放送メディアとして会社の自律的な再生を支持したかたちだ。

フジ・メディア・ホールディングス株主総会の会場に向かう株主ら=6月25日午前、東京都江東区(酒井真大撮影)

新しい取締役は清水氏以外の10人が新任で、社外取締役が6人と過半数を占めた。女性の比率を高めるなど多様性を重視している。

清水氏はこれまで産経新聞の取材に「メディア業界、人権、デジタルなどの知見を持ち、幅広いステークホルダー(利害関係者)の意見を反映した」と話していた。再発防止へ「取締役会を含めて社内で繰り返し議論し、人権意識を定着させる」とも語っていた。

この問題では外部弁護士による第三者委員会が「業務の延長線上における性暴力だった」と断じ、女性からの被害申告を受けながら、救済メカニズムが機能しなかった企業統治の欠如を厳しく批判した。

第三者委は性的暴力・ハラスメントの人権課題はメディア・エンターテインメント業界の構造的課題であることも指摘した。タレントの国分太一氏がコンプライアンス(法令順守)違反の行為をしたとして日本テレビなどの番組を降板する問題も起きた。ビジネスと人権の問題は人ごとではない。

社員が安心して働き、能力を発揮できる企業の組織統治は、良質な番組づくりなど会社の成長を支えるものだ。

フジテレビではバラエティー番組の担当部長がオンラインカジノの常習賭博容疑で逮捕される不祥事が起きた。人事・コンプライアンスの対応強化策など不断の見直しが欠かせない。

2025年6月26日付産経新聞【主張】を転載しています

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