
中学校英語スピーキングテストの会場である、都立日比谷高校に入る学生=2022年11月27日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
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東京都立高入試の一環で行われている英語スピーキングテストの運営事業者で英国の公的機関「ブリティッシュ・カウンシル」(BC)が財政危機に陥っていることが3月17日、関係者への取材で分かった。BCはすでに財政危機に関する説明を都に行い、スピーキングテスト継続も約束。ただ、BCでは事業縮小の可能性が論じられている上、実施可能な発注先は限られているとみられ、スピーキングテストの継続性が疑問視されかねない状況だ。
都によると、BCの日本側関係者は今年1月末ごろ「新型コロナウイルス禍の影響による厳しい財政状況が今も続いている」と都側に伝えた。今年に入り、BCが深刻な財政危機に陥っているとの報道が英国であり、BCからの説明は、この直後だったという。
関係者の取材や現地報道によると、BCはコロナ禍の影響による資金繰りの悪化から1億9700万ポンド(約380億円)の負債を抱え、所有する芸術作品を手放すことや事業縮小が論じられているという。
都のスピーキングテストは令和5年度(4年度実施)の都立高入試から導入。当初は、教育出版大手の「ベネッセコーポレーション」が参入したが2年で撤退。採算性を懸念したとされる。

ベネッセ撤退後の公募に名乗りを上げたのはBCのみで、7年度入試(6年度実施)から継承。BCが進出しなければ、スピーキングテスト実施が窮地に追い込まれるところだった。
スピーキングテストの継続性を揺るがしかねない状況に、都は「BCとは6年間の事業協定を結んでおり、現時点で見直す計画はない」と静観の構え。BCは産経新聞の取材に「財政的な課題は存在する」と認めつつ、「日本での業務は中断することなく継続しており、中でもスピーキングテストは最重要事業と位置付けられている」と強調した。
筆者:宇都木渉(産経新聞)
■東京都のスピーキングテスト
「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能をバランス良く総合的に育成することを目的に、令和5年度入試(4年度実施)から中学3年を対象に開始。公立校としては初の取り組みで5年度実施分からは中学1、2年へも対象を広げた。試験ではマイクとヘッドホンが一体型のヘッドセットが使われる。生徒はヘッドセットを着け、タブレット端末に表示される問題を見て、口頭で回答。結果は都立高の合否判定に活用される。
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