天皇、皇后両陛下が6月4日から沖縄県に行幸啓される。先の大戦終結から80年を迎える中での、慰霊の旅の一環で、19日からは被爆地・広島に足を運ばれる。
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沖縄戦犠牲者の名前が刻まれた「平和の礎」を訪問された天皇、皇后両陛下=2022年10月22日午後、沖縄県糸満市の平和祈念公園(代表撮影)

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天皇、皇后両陛下が6月4日から沖縄県に行幸啓される。先の大戦終結から80年を迎える中での、慰霊の旅の一環である。19日からは被爆地・広島に足を運ばれる。

天皇陛下が、戦地や被爆地で亡くなった人々の御霊(みたま)を慰められる意義は極めて大きい。ご活動に感謝したい。国民も心ひとつに哀悼の誠を捧(ささ)げる時である。

広島市の平和記念公園

陛下は皇后陛下とともに、昭和20年の沖縄戦最後の激戦地となった摩文仁(まぶに)の丘(糸満市)にある国立沖縄戦没者墓苑で供花される。また、19年夏に米軍に撃沈され、多くの子供たちが犠牲になった学童疎開船「対馬丸」の記念館を視察し、遺族らと懇談される予定だ。敬宮愛子内親王殿下も同行される。

広島では、平和記念公園(広島市)にある原爆死没者慰霊碑に花を手向けられる。長崎にも年内に赴かれる方向で宮内庁が調整を進めている。

今回のご訪問を、各地の住民は心待ちにしている。那覇市のご宿泊先のホテル近くでは有志による提灯(ちょうちん)行列が行われるほか、琉球舞踊などの奉迎行事が計画されているという。

沖縄を初訪問し「ひめゆりの塔」前で説明を受けられる上皇ご夫妻=1975年7月17日

慰霊の旅は、戦後50年にあたる平成7年に在位中の上皇陛下が始められた。上皇后陛下と広島、長崎、沖縄や東京大空襲の関連施設などを巡り、戦没者の冥福を祈られた。

天皇陛下も、上皇陛下の御心を引き継がれている。今年2月の記者会見では慰霊の意義を強調し、「平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会になればと思っております」と述べられた。

本土から遠く離れた戦跡でのご活動にも、天皇陛下は熱心でいらっしゃる。4月には皇后陛下と硫黄島に赴かれた。7月には天皇として初めてモンゴルを公式訪問し、ソ連による抑留者らの追悼も検討されている。

一方、靖国神社や中国、ロシアなど、政治情勢により慰霊のためのご親拝、ご訪問がかなわない場所もある。

昭和天皇は戦後、幕末以来の英霊をしのび、靖国神社を8回にわたり親拝した。だが、中韓両国の干渉や国内左派勢力の反対により、昭和50年11月を最後に行われていない。

その責任は歴代首相をはじめ政府にある。ご親拝の環境が整うよう、石破茂首相は率先して努めてもらいたい。

2025年6月3日付産経新聞【主張】を転載しています

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