ウクライナを侵略するロシア軍現役兵の20代の男性が産経新聞のインタビューに応じた。兵士への共感が乏しい露社会への不満を赤裸々に吐露。自身に課している至上命令は「生き残ること」だと述べたほか、日本社会への羨望も口にした。
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モスクワの「赤の広場」で行われた対ドイツ戦勝80年を祝う軍事パレードに参加するロシア軍兵士=5月9日(ロイター)

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ウクライナを侵略するロシア軍現役兵の20代の男性が5月、休暇で帰還していた露首都モスクワで産経新聞のインタビューに応じた。露軍の現役兵が日本メディアの取材に応じるのは異例。男性は軍に入隊した動機やウクライナの戦場で露軍の前進速度が落ちている理由について語り、兵士への共感が乏しい露社会への不満を赤裸々に吐露した。また、自身に課している至上命令は「生き残ること」だと述べたほか、日本社会への羨望も口にした。

ウクライナに嫌悪感

男性は所属部隊や氏名を明かさない条件で取材に応じた。ウクライナ南部ザポリージャ州で偵察・狙撃の任務についているという。2022年2月にロシアがウクライナ全面侵攻を開始した直後に志願兵として軍に入隊し、同年3~10月に従軍。その後、いったん軍を離れたが、24年に再び軍に戻ったと説明した。

男性は露軍の兵士となった理由について、14年にウクライナの親露派政権が民衆のデモで打倒された「マイダン革命」がモスクワで起きるのを見たくなかったためだと説明した。

ロシアはマイダン革命を米欧諸国が裏で糸を引いた「違法クーデター」だと主張し、ウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合。同時期にはウクライナ東部ドンバス地域(ドネツク、ルハンシク両州)でもロシアの支援を受けた親露派武装勢力が蜂起し、ウクライナ東部紛争が勃発した。ウクライナの欧米接近を加速させた同紛争は、ロシアのウクライナ全面侵攻の契機の一つとなった。

男性は「私は、仮にロシアがクリミアを併合せず、ウクライナに干渉しなくても、ウクライナは欧米に扇動されてロシアを攻撃していたと考えている。私は極端な愛国者ではないが、自分の住む場所を守るためには戦う」と話した。

男性はまた、「ウクライナに資金はない。欧米の軍事・財政支援がなければ戦えない。非常に依存的な国家だ」とも話し、ウクライナへの嫌悪感を隠さなかった。

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2025年6月2日産経ニュース【ロシアを読む】より

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