日韓両国は、国交を結んで60年の節目を迎えた。石破茂首相と李在明韓国大統領はカナダで初の対面会談を行い、未来志向の日韓関係を築くことで合意した。未来志向は言葉のみでは実現しないという点を銘記してもらいたい。
Japan South Korea 60 anniversary

日韓国交正常化60年の記念式典で挨拶する石破茂首相=東京都内

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日韓両国は22日、国交を結んで60年の節目を迎えた。

これに先立ち、石破茂首相と就任間もない李在明韓国大統領はカナダで初の対面会談を行った。両首脳は未来志向の日韓関係を築くことで合意した。

日本は韓国の経済成長に協力し、韓国は自助努力もあって先進民主主義国になった。だが、韓国は歴史問題で日本に言いがかりをつけ、両国関係はしばしば冷却化した。自由と民主主義を奉じ、米国と同盟を結ぶ日韓の良好な関係は地域の平和と安定に不可欠だ。

そこで李氏に銘記してもらいたいことがある。

カナダ・カナナスキスのG7サミット会場で握手する石破茂首相と韓国の李在明大統領(首相官邸)

まず、未来志向は言葉のみでは実現しないという点だ。それにふさわしい行動や政策を持続するよう望みたい。

就任時に未来志向の日韓関係を掲げた李明博元大統領は、支持率を落とすと竹島(島根県隠岐の島町)に不法上陸した。在位中の上皇陛下に「歴史問題」で謝罪要求する非礼も働いた。朴槿恵政権下で、日韓両国が「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した慰安婦合意を、次の文在寅政権は否定した。

李在明氏は大統領候補になる前、日本を「敵性国家」と呼んでいた。大統領選からは反日を封印してみせたが、本当にこの姿勢が続くのか。

また、日米韓の結束を唱えつつ、中国や北朝鮮との関係も重視する「実用外交」を、蝙蝠(こうもり)外交にしてはならない。

京都・舞鶴沖で行われた初の合同訓練で併走する(上から)韓国、米国、日本の巡視船=2024年6月(海上保安庁提供)

歴代の韓国大統領が試みた米中間でのバランス外交は功を奏したためしがない。中国、北朝鮮、ロシアという専制国家は強硬姿勢を強めている。李氏は「台湾海峡がどうなろうと、われわれには何の関係もない」と発言したことがある。韓国が台湾有事に日和見を決め込めば、日韓関係も米韓同盟も破局を迎える。日米と協力し対中抑止の役割を担ってもらいたい。

朝鮮半島有事における韓国の安全保障は米国に加え日本の協力も欠かせない。石破首相はこの事実を李氏に説くべきだ。

韓国が取り上げてきた慰安婦や「徴用工」などの所謂(いわゆる)歴史問題は史実を歪(ゆが)めた主張だった。それを蒸し返して日本と対立すれば、北朝鮮や中国が喜ぶだけである。請求権をめぐる問題がとうに解決済みであるのは、60年前に調印した日韓基本条約と関連協定が示すところだ。

2025年6月22日付産経新聞【主張】を転載しています

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