日本の宇宙ベンチャー「アイスペース」が開発した2機目の月着陸船が月面着陸に再挑戦する。成功すれば、アジアの民間企業で初の快挙となる。
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宇宙空間を飛行するアイスペースの月着陸船の想像図(同社提供)

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日本の宇宙ベンチャー「アイスペース」(東京都港区)が開発した2機目の月着陸船が日本時間6月6日早朝、月面着陸に再挑戦する。成功すれば、アジアの民間企業で初の快挙だ。小型探査車で月の砂「レゴリス」の採取も行い、所有権を米航空宇宙局(NASA)に販売する世界初の「月面商取引」の実施を目指す。

月着陸船は今年1月、米フロリダ州からスペースXのロケットで打ち上げられ、現在は月の高度約100キロを周回する円軌道を時速約5800キロで飛行している。6日は午前3時15分ごろ、主エンジンを進行方向に噴射し進路を変え、円軌道を離れて降下を開始する。

計画によると、惰性で高度約20キロまで降下後、再び主エンジンを噴射し時速約380キロに減速。高度約3キロに到達後は、主エンジンと補助エンジンで姿勢を調整しながら時速約2キロまで減速して最終着陸態勢に入り、午前4時17分に月の北極に近い「氷の海」に着陸する。着陸時刻は当初、午前4時24分としていたが4日に変更を発表した。

同社は、2023年に初めて月面着陸に挑んだが、途中で高度を正しく計測できなくなり、高度約5キロから墜落し失敗。そのため2機目は高度センサーや制御システムを大幅に改良し、高精度な着陸に再挑戦する。

月着陸船の模型=2023年4月26日(© JAPAN Forward)

成功すればアジアの民間企業初。着陸後、自社開発の小型探査車が月面走行して月の砂の採取に成功すれば、こちらは世界の民間企業初となる。

2機目のプロジェクトを指揮する日達佳嗣(ひたち・よしつぐ)開発統括は、5月30日の記者会見で「1機目の失敗で得た知見に基づき、十分な準備を進めてきた。月面への着陸から探査まで、全て成功させたい」と意気込みを語った。

筆者:伊藤壽一郎(産経新聞)

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