"Omakase For Kids, in Burgundy." JP from Masu Masuyama on Vimeo.
ブルゴーニュというワインの銘醸地、フランスでも有数のグルメ都市リヨンにもほど近いエリアで、当地の子供達に初めて本格的な和食を食べて貰い、どんな反応をするのかを記録した映像を見た。これが本当に面白いし、つくづく考えさせられるものであった。
世界中の大きな都市には寿司やラーメンなどを食べさせる和食レストランが溢れているが、実は日本に行ったことのない料理人、経営者が提供する和食を、これがスタンダードだと思っていることが多いので、本当の本物、日本の伝統的な味わいに触れる機会が少ないのだ。
この日食べたのは、ひょっとしたら彼らが一生に一回しか出会わない、真の和食を食べる機会だったかもしれない。映像には写っていないが、この子の親や周囲にいる大人達は、その同じ料理を「美味しい、美味しい」と食べていたそうだ。
大人になってから美味しさが分かる食べ物もあるし、相手を傷つけないように配慮し、お世辞を言って、「美味しい」と褒めるのが大人だが、子供は容赦ない。嫌いなものは口から吐き出す。当たり前である。
聞いてみると、日本の子供に同じ料理を食べさせると、「おいちい」と反応する子が多いとのこと、民族のDNAに入っている味覚の好みの不思議さを感じる。
自分の好みを他人に薦めるのは古今東西、万国共通、衣食住のライフスタイル、音楽や芸能などの文化・エンタメ、そして宗教やビジネス手法などもそうである。この映像を見て、自国文化を外国人に紹介する際、価値観の押し付け、親切の押し売りをしてはいけないと反省させられた。
「食べもの」を紹介する際の一つの指標として、先入観や事前情報の無い子供の反応を知るのは大きなヒントであろう。好き嫌いは個人の感覚だが、それを感じ判断出来る実体験の場は、誰かが仕掛けなくては永遠に訪れない。この企画を考えた人を尊敬する。
このシリーズ、アメリカやスペインなど各地で行われているので、各地の現場の裏話なども聞き、国際交流する際のヒントにしては貰えればと考え、順次紹介していきたい。
筆者:渡辺幸裕(ギリークラブ代表)