
黄色の羽の色が鮮やかなカワラヒワの集団(大山文兄撮影)
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寒波による記録的な大雪に見舞われ、新潟県・佐渡は雪景色で真っ白だ。国の特別天然記念物のトキの姿を普段は追っているが、今回は翼を広げると色艶やかなカワラヒワやカシラダカのたくましく生きる姿を追った。
雪原のダンス?
いつものようにトキを撮影していると、真っ白な雪原でカワラヒワの集団に出会った。遠くから見ると、南国のチョウが乱舞しているようにも見える。
カワラヒワは全長約13センチ。全身がオリーブ褐色で地味だが翼を広げると、黄色の帯模様が目を引く。九州以北の林や草地や農耕地などに生息している。エサは草や穀物の種子だ。太いクチバシでヒマワリの種も割って食べる。姿形からスズメと間違えられることもあるが、羽根を広げると違うことがわかる。
スズメと同様に、エサが少なくなる秋から冬にかけ集団で行動する。

絶滅危惧種のカシラダカが寄り添う姿も
雪原で、カシラダカのペアが仲良く稲穂のコメを食べている姿も写真に収めた。日本では冬鳥で、カムチャッカ半島付近で繁殖し渡ってくるという。山階鳥類研究所によると、大陸に広く分布している鳥だったが世界的に数が減り、2016年に国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定された。佐渡では減少しておらず普通に観測できるが、世界的には減っているという。
タカという名前がついているが、ホオジロ科の小鳥だ。頭の上に小さな冠羽があり、さえずるときや緊張すると小さく膨らむ。

雨の恩恵でエサが豊富?
今秋は稲刈りの時期に連日、雨が続き、コメどころで有名な佐渡も、コメの出来や収穫に影響した。コンバインで稲を刈るときには水分を含んだ稲が詰まり、それを取り出すために何度も作業を中断して往生した。しかし一方で、これが鳥たちには恵みになっている。詰まった稲穂を取り出す時に籾(もみ)がこぼれ、鳥たちの冬のエサになっているのだ。今秋はこぼれた籾が必然的に多く、厳しい冬で有り難いエサになっている。
2月、米の価格の記録的な値上がりで備蓄米が初めて放出された。人にとっては不幸といえるが、動物たちにとっては恵みになっている。自然の不思議なバランスともいえるかもしれない。

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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。
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