[SPONSORED] 寿司ロボットで世界トップシェアを誇る鈴茂器工。米飯文化・日本食を海外に広める伝道師だ。そのグローバルニッチのトップたちのこだわりは、創業以来変わらぬ「美味しいご飯の提供」だった。
Suzumo IV-7

鈴茂器工の鈴木美奈子会長と谷口徹社長(海藤秀満撮影)

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『SUSHI』や『ONIGIRI』『DONBURI』は、日本の食文化の代表格と言っても過言ではない。その「美味しさ」と「温かさ」を世界に伝え、世界的な日本食ブームの一翼を担ってきたのが米飯加工ロボットメーカーの鈴茂器工だ。今年4月に新たな経営体制が整ったのを機に、創業家出身の鈴木美奈子会長(前社長)と谷口徹社長(前副社長)のツートップが東京・中野の本社でJAPAN Forwardの単独インタビューにこたえ、同社がこれから何を目指していくのか語った。

「この世にないものを創る」

「当社の米飯加工ロボットは、効率化や省人化、ロボットが作る食品の均質化といった点で顧客に大きな価値を提供しています。ただ機械を販売するだけでなく、“美味しい食を広める”という創業者の想いを忘れずに事業に取り組んでいます」。谷口社長はこう語り、創業以来変わらぬ「美味しいご飯」の追求こそが強みであると強調した。

谷口徹社長(海藤秀満撮影)

創業者の父親から直接学んだ鈴木会長はさらに、「この世にないものを創りあげる―。そんな創業者の理念を引き継ぎ、米飯食の『美味しさ』や『温かさ』を機械で実現して世界に届けること、『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』を企業ビジョンとしています」と付け加えた。

鈴木美奈子会長(海藤秀満撮影)

「もっと美味しくできる」

しかし、そのビジョン追求の道は平たんではなかった。創業者が半世紀以上前、菓子工場向け機械から米飯加工食品向け機械に特化するという決断を下し、事業転換に舵を切ったことが、今日につながったという。

『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』

「1980年代に米国へ進出し、当時の寿司ブームを経験しました。見た目は寿司でも、美味しくないと感じたケースも多く、炊飯方法なども含めて指導することも大切だと感じました。海外の和食をもっと美味しくできる―。そのための付加価値サービスも提供できる。それが当社の強みです」と谷口社長は力説した。機械導入前から導入後のメンテナンス、修理対応まで、アフターサポートも高い評価を得ているという。

鈴茂器工の寿司用シャリ玉ロボット。トレーへの自動移載も対応している。

国内では、寿司店だけに限らず、スーパーマーケットやレストラン・食堂、ホテル・旅館、テイクアウト・宅配専門店、食品加工工場が、用途に応じた様々な米飯加工ロボットを導入し、業容は拡大している。その中でも、大きく成長しているのは海外の市場だ。

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和食への興味拡大は必然

農林水産省の調べによると、海外における日本食レストラン数は、2013年は約5万5000店だったが、2023年には約18万7000店に増えた。10年で3.4倍になった。

鈴茂器工の製品は現在、世界90カ国以上で販売されている。海外売上高比率は、2割台から直近では3割台に増加。地域別では、北米が44.5%でトップとなっているが、それ以外のアジアや欧州に加えて、中東も潜在的な成長市場で、UAE(アラブ首長国連邦)では富裕層を中心に寿司需要の高まりを感じているという。

海外の展示会では、寿司やおにぎりのデモンストレーションは多くの来場者から注目を集める。(アメリカNRA Showでの様子)

「今はSNSなどいろいろな情報を得て、海外からの旅行客はじめ和食への興味が世界で広がるのは必然だと思います」。谷口社長はこう語り、笑顔で続けた。「ご飯と具材の組み合わせは無限で、米飯食がもっと広がると感じています。最近では、おにぎりが人気ですが、現地の嗜好に合わせたローカライズも進んでいます。例えば、欧州では〝チキンカツカレー〟や〝ポケ丼(ハワイ風マグロ丼)〟がブームになっています。米飯食の広がりが続く限り、私たちの出番もあります」。

米国の大学の学食にまで同社のご飯盛付けロボットが導入される時代である。「日本食ブームが広がるにつれ、現地の人々の間でローカライズした日本食の作り方や食べ方が生まれています」。こう指摘するのは鈴木会長だ。日本食がその枠を超えて現地で変化し、新たな米飯文化を創造していると言っても過言ではない。鈴木氏は「現地の食文化に合わせた対応が求められています」と語った。変化の中にこそ成長の種があるということだろう。

アメリカでは寿司は外食・レストランのみならず、スーパーマーケット等の小売市場まで広がっている(アメリカのスーパーマーケットの様子)

進化は止まらない

寿司店の国内市場は成熟しつつある。しかし、鈴茂器工はそれにこだわらず、小規模な店舗をはじめ、ご飯を提供する外食店全てをターゲットにした、ご飯盛付けロボットFuwarica(ふわりか)の導入を外食店などに働きかけている。Fuwaricaは、「焚き上がったご飯に適度な空気を含ませ、ふんわりとした食感を生み出す独自技術『ほぐし機能』を搭載している」(鈴木会長)。「美味しいご飯」を追求した製品だ。機械の進化は止まらない。

ご飯盛付けロボットFuwaricaは、タッチ操作で温かいご飯が適量、衛生的に提供される。空港のラウンジなどにも導入されている

開催中の大阪・関西万博では、まさにこのふんわりとしたご飯の食感を体験してもらおうと、象印マホービンが出店したおにぎり専門店「ONIGIRI WOW!(オニギリ・ワウ)」に鈴茂器工が「ふんわりおむすびロボット」を提供、美味しいおにぎりを食べることができる。

「万博会場では寿司や丼にも当社ロボットが活用されており、日本の食文化『SUSHI』や『ONIGIRI』『DONBURI』を世界中の人々に楽しんでもらう素晴らしい機会となっています。万博を通じて、日本食の魅力を広げる一助となっていることを嬉しく思います」。万博を視察した谷口社長の実感だ。

最新製品の需要の増大に対応するため、埼玉県に新工場を建設中で、鈴木会長は「効率的な生産方法を取り入れ、生産能力の向上を目指します。2026年3月の稼働を予定しています」と説明した。

埼玉県鶴ヶ島市に建設中の新工場の完成予想図(鈴茂器工提供)

鈴茂器工はさらに、厨房だけでなく飲食店の店内オペレーションの効率化に役立つ、AIやITを活用したデジタルサービス・ソリューションの提供にも注力しており、顧客に付加価値をもたらす多面的な新規サービスを外部企業との提携も視野に入れてスピード感を高めて展開する計画だ。

谷口社長は、最後にこう語った。「食のライフスタイルプロデューサーとして、鈴茂器工の社会的価値をさらに高め、事業基盤をさらに強化したいと考えています。利益追求にとどまらず、SDGs(持続可能な開発目標)やガバナンスにも配慮した経営を通じて、持続可能な成長を実現できる企業を目指します」。

取材協力:鈴茂器工

(JAPAN Forward)

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