自衛隊の統合幕僚長を務めた岩崎茂氏が、台湾の行政院の政務顧問に就任した。頼清徳政権は安全保障面で日本との連携強化を図りたい考えだ。
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岩崎茂元統合幕僚長

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自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏(72)が、台湾の行政院(内閣に相当)の政務顧問に就任したことがわかった。台湾の当局者が3月21日、明らかにした。自衛隊幹部の経験者が台湾当局の役職に就くのは異例。中台統一を掲げる中国の習近平政権が台湾への軍事的圧力を強める中、台湾の頼清徳政権は安全保障面で日本との連携強化を図りたい考えだ。

岩崎氏は今月、政務顧問に就任した。任期は1年間。行政院の招待で同月訪台し、卓栄泰・行政院長(首相)とも面会した。台湾の当局者は「岩崎氏は長期にわたって台日関係と地域情勢を注視してきた。その知見と経験をお借りし政策提言していただく」と述べた。

日本人では台湾で飲食店を経営する野崎孝男氏が昨年8月、政務顧問に任命されている。

岩崎氏は航空自衛隊の戦闘機パイロット出身。航空総隊司令官などを経て2010年12月から航空幕僚長、12年1月~14年10月に統合幕僚長を務めた。

航空自衛隊のC2輸送機

台湾の国防部(国防省)の統計によると昨年、台湾周辺では中国の軍用機が1日平均で延べ約14機活動し、このうち延べ約8機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線やその延長線を越えた。台湾の頼政権は、こうした中国による軍事的圧力に対抗するため、日本側と安全保障面での意思疎通と連携の強化を図りたい考えだ。

日本側はこれまで対台湾窓口機関、日本台湾交流協会の台北事務所に防衛省の「背広組」と呼ばれる文官職員や退職した自衛官を派遣しているが、中国の反発を懸念して現役自衛官は派遣していない。

筆者:西見由章(産経新聞台北支局)

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