
栄誉礼を受ける「統合作戦司令部」の南雲憲一郎司令官(右)=3月24日午前、防衛省
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陸海空自衛隊の各部隊の指揮を一元化する「統合作戦司令部」が3月24日、東京・市谷の防衛省内に発足した。約240人態勢で、初代司令官に南雲憲一郎空将(59)が就任。制服組トップの統合幕僚長が部隊間の調整役を担っていたが、部隊全体の指揮権を持つ司令部を置くことで、有事や大規模災害への対応を迅速化する狙いがある。
中谷元防衛相は同日の式典で「わが国は戦後、最も厳しく複雑な時代の安全保障環境に直面している。統合作戦司令部の新設は極めて大きな意義を持つ」と訓示した。
陸海空各自衛隊には司令部機能があるが、自衛隊全体にはなく、統幕長が防衛相を補佐する形で部隊間の調整を行っていた。平成23年の東日本大震災などでは統合任務部隊を任務ごとに編成しており、部隊配分の調整に一定の時間を要した。複数事態が同時発生した際の即応性に課題があり、平時から全体の状況を把握し、有事対応へ円滑に移行できる常設の統合司令部が必要とされた。
また、統幕長は首相や防衛相の判断を補佐しつつ、部隊の状況を把握して指示を出す「一人二役」を求められたが、今後は防衛相らの補佐に専念できる。

日米連携も進む。新たな統合作戦司令官は、米インド太平洋軍司令官や在日米軍司令官の連携先となる。運用レベルの協力が強化され、日米間の情報共有が進むことが期待される。日本の動きに合わせ、米軍側にも組織再編の動きがある。
統合作戦司令部設置は令和4年末策定の「安保3文書」で明記された。人員は来年度末に280人体制へ増員される見通しになっている。
(産経新聞)
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