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本名は厩戸皇子(うまやどのみこ、うまやどのおうじ)又は厩戸王(うまやとおう)とされることも多いが、いまの日本人後世の人が尊称として呼んだ「聖徳太子」という名で認識している人が圧倒的である。1930年(昭和5年)に百円紙幣の絵柄として登場し、その後近年まで7回も高額紙幣の顔として使用されたので、その風貌まで広く知れ渡っている存在である。
東京赤坂のサントリー美術館で開幕した没後1400年記念「聖徳太子 日出づる処の天子」展は、聖徳太子を通じ日本で仏教信仰の流れと長年の太子信仰までが初心者にもよくわかる構成、展示になっている。
聖徳太子は、インドを起源とする仏教布教の中心人物として曽我氏などと共に、日本古来の神と競合すると主張し排斥を主張した物部氏との間に起きた宗教戦争を戦い勝利した。展示は、その戦いの様子や太子自ら四天王像を彫り、戦勝の後、大坂に四天王寺を建立したことなども教えてくれる。
日本仏教の何たるか、その後に続く各宗派の高僧達がいかに聖徳太子を尊敬し大切にしたか、太子絵や彫刻など展示物に見られる太子の柔和な表情からうかがい知ることができる。
彼が生きた近畿圏だけでなく、関東圏にある寺宝の数々も展示され、通常非公開の貴重な展示品も多い興味深い展覧会になっている。
まだ日本に来られない方には、サントリー美術館から提供される写真で展覧会を楽しんで欲しい。
https://www.suntory.com/sma/exhibition/2021_4/index.html
筆者:渡辺幸裕