zero-COVID

A crowd holds up white sheets of paper in protest of Beijing's zero-COVID policy in Beijing, China, on November 27, 2022. (©Reuters/Thomas Peter)

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中国の習近平国家主席は、サッカーファンとして知られる。その意向を反映しているのだろう。ワールドカップ(W杯)カタール大会で中国は、代表チームの出場を逃しながらも大きな存在感を示している。

 

スポンサーには多くの中国企業が名を連ね、大会を支えている。中国は開催を記念して、カタールに2頭のジャイアントパンダまでプレゼントした。国営メディアは連日、大会の模様を伝えている。とはいえ、中国の国民は純粋にサッカーを楽しめているだろうか。

 

新型コロナウイルスの撲滅をめざす「ゼロコロナ」政策への抗議活動が、中国各地に広がっている。きっかけとなったのは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた10人が死亡した火災だった。コロナ対策の封鎖により消火活動と住民避難が遅れたとの指摘が、ネット上で広がった。

 

今年3月、中国最大の経済都市上海で始まったロックダウン(都市封鎖)は2カ月に及び、約2500万人の住民が自宅に閉じ込められた。他の都市でも同じような措置がとられてきた。にもかかわらず、ここ数日、新規感染者は過去最悪のペースで増え続けており、ゼロコロナ政策の終わりは見えない。

 

China's protests
中国政府の新型コロナ対策に抗議する市民を拘束する警察官ら(ビデオ映像から、ロイター)

 

経済に与える打撃も大きくなるばかりだ。ところがテレビに映るカタールでは、大勢の人々がマスクも着けずにお祭り騒ぎを繰り広げている。もう我慢の限界だと、デモに参加した人も少なくないだろう。北京や上海での抗議活動では「独裁不要」や「共産党退陣」の声が上がった。体制批判とは、異例の事態である。

 

国民の不満を抑えるために、習政権はどんな手を打ってくるか。評論家の石平氏は昨日の夕刊フジで、「予定より早く台湾統一の動きを早める危険性」を指摘していた。

 

 

2022年11月29日付産経新聞【産経抄】を転載しています

 

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