Japan Coast Guard

Japan Coast Guard's "SeaGuardian" unmanned aerial vehicle. (© Japan Coast Guard)

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海上保安庁の大型無人航空機の運用が19日から始まり、青森県八戸市の海上自衛隊八戸航空基地を飛び立った。無人機は遠隔操作で24時間以上の連続飛行が可能。災害や海難事故では現場周辺の上空からカメラで撮影し、リアルタイムで状況を把握できる。広大な日本周辺の全海域をカバーできる性能があり、排他的経済水域(EEZ)内で違法操業する外国漁船や不審船の警戒業務にも活用する。

 

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大型無人航空機シーガーディアンの地上コックピット=10月19日、青森県八戸市(海上保安庁提供)

 

24時間以上の連続飛行が可能

 

運用が始まった無人機は米ジェネラル・アトミクス社の「シーガーディアン」(MQ-9B)。全長11・7メートル、幅24・0メートルで、海保が実証実験を進め、導入を決めた。導入費用は約40億円。海保の石井昌平長官は19日の定例記者会見で「この新しい技術を活用し、海洋監視体制の強化に取り組んでいく」と述べた。

 

海保によると、有人機では心身への負担などで連続飛行時間は原則8時間以内と定められているが、無人機は飛行中に操縦者を交代することで24時間以上の連続飛行が可能になる。

 

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海上保安庁の大型無人飛行機「シーガーディアン」が撮影した映像(海上保安庁提供)

 

津波や噴火などの災害現場では、上空を旋回しながらリアルタイムで状況を把握。赤外線暗視カメラやレーダーも搭載されており、海保関係者は「現場上空で旋回しながら対象物を捕捉し続け、機体が揺れてもブレずに撮影できる」と明かす。6カ月前に発生した北海道・知床沖の観光船沈没事故のような海難対応でも威力を発揮するとされる。

 

無人機で違法操業船や不審船を発見し、巡視船やヘリコプターの出動につなげることも想定。「監視業務の効率が格段に上がり、現場の負担軽減につながる」(海保関係者)という。

 

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大型無人航空機シーガーディアンのオペレーションセンター=10月17日、青森県八戸市(海上保安庁提供)

 

衛星経由で操縦、20人態勢で情報分析

 

元第3管区海上保安本部長で日本水難救済会理事長の遠山純司(あつし)氏は「従来の航空機やヘリ、巡視船と連携を図り、効果的、効率的な運用が期待できる」と指摘。「無人機で得た情報をいかに分析するかが今後の課題となる」との見解を示す。無人機は地上にいる操縦士が衛星経由で操縦。操縦と整備は外部に委託するが、海保は約20人態勢で情報分析にあたる方針だ。

 

海保は令和5年度以降に無人機を増やし、複数機による24時間運用に向け、検討を進めている。

 

 

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