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7月27日の東京五輪ソフトボール決勝では、日本代表が米国と横浜スタジアム(横浜市)で対戦し、2―0で米国を下し、悲願の金メダルを獲得した。前回実施された2008年北京大会以来、13年ぶりの金メダルをかけた日米戦だった。
だが、米国を率いたケン・エリクセン監督の人気が日本国内で高まっている。
ソフトボールは、東日本大震災からの復興を世界にアピールする「復興五輪」の象徴的な位置づけで、すべての競技に先駆けて7月21、22日に福島県営あづま球場(福島市)でスタート。福島市に宿泊したエリクセン監督は福島での滞在が気に入ったようで、試合後の記者会見では、「福島の方々の協力がピカイチでした」と大会運営を評価。その上で、「福島が安全でよい場所だということをメディアが見て回れないのは残念」と無観客開催になったことを惜しんだ。
「ずば抜けている!」
さらに、ホテルで桃を食べたことを打ち明けたエリクセン監督。「福島の桃はおいしかった」と満面の笑みを浮かべて絶賛。
21日の開幕戦で日本と対戦したオーストラリアのレイン・ハーロウ監督も「とても美しい町で山々がとても印象的」と福島の景観が気に入った様子。「そして、何より桃はずば抜けていますね!」と地元の名産品をほめちぎった。
そのことがニュースなどで広まると、ネット上では「エリクセン監督ありがとう」「福島の桃を食べたくなってきた」「地元の誇りだからうれしい」「これこそ復興五輪」とエリクセン監督たちへの感謝の声であふれた。
福島の代表品種は「あかつき」。肉厚で果汁も多く、果肉も比較的柔らかめなのが特徴だ。今がまさに旬で、9月中旬ごろまで、さまざま品種を楽しむことができる。
福島県は桃の生産量が山梨県に次いで全国2位。東京電力福島第1原発事故後は風評被害に苦しんだが、生産者らの努力で海外にも市場を広げている。主要な生産地の桑折町の桃は皇室にも献上されている。
しかし、韓国オリンピック委員会は、東京五輪選手村の食事に福島県産の食材が使われることを懸念し、選手村近くに独自の給食センターを設置した。
これについて、福島県の内堀雅雄知事は「誤解、偏見をただし、正しく認識してもらうことが風評払拭の本質」などと述べ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降、関係者が続けた努力が理解されないことに悔しさをにじませていた。