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「日本が嫌い」な中国ネット世論

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仕事柄、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」を頻繁にチェックしている。中国を知るには欠かせないツールの一つで、湖北省武漢市の医師が新型コロナウイルス感染拡大にいち早く警鐘を鳴らしたのもこのサイトだ。

 

言論統制される中国で真実を暴くという正の側面がある一方、最近は過度に愛国心をあおる投稿が増えている。先日もそのあおりを受け、開業間もない「日本街」が営業できなくなってしまった。

 

中国で最も親日的とされる中国東北部の大連市。沿岸部のリゾート地で開発中の複合商業施設「盛唐・小京都」に8月、プレオープンした「京都風情街」が、わずか1週間で営業停止になったのだ。

 

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大連にプレオープンした「京都風情街」。ネット上の批判で営業停止となった。

 

「唐代とその影響を受けた京都の融合」をテーマにした中国最大級の日本街になる予定だった。市政府は理由について、「新型コロナウイルス対策上の問題」と「ネット上の批判」を挙げたが、実際は後者が主な理由だった。

 

「侵略国家の文化で利益を得るな」「殺された同胞が見たらどう思うか」。開業後、微博にはこうした批判が殺到した。大連を含む東北部はかつて日本が統治した場所。〝国辱〟を受けた敵国の街の再現など言語道断だという。

 

開業が、満州事変の発端となった柳条湖事件から90年という節目の直前だったことも反日世論を刺激した。今後は「京都」の名を外し、日本色を薄めて再開するようだが、何ともすっきりしない。

 

ネット世論に反して、盛況となった日本式居酒屋

 

現実には開業直後に1日10万人超が訪れるほど盛況だったからだ。市政府の重要プロジェクトでもあり、地元も期待していたはず。「日本」と聞けば何でも過去と結び付けて批判するネット社会と現実には大きな乖離(かいり)がある。

 

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中国では近年、日本ブームが起きている。政治的対立はあれど、日本の漫画や居酒屋のファンが増えるのは素直にうれしい話だ。だが過去には女性が和服姿の写真を投稿しただけで、「中国人の誇りを忘れたのか」とネットで炎上した事例もある。

 

日本街にある居酒屋の店内

 

未来志向で何かをやろうとしても、最後はネット世論が邪魔をする―。そんな負の連鎖が続く限り「日中友好」など訪れるはずもない。親日の街・大連には「ネット上の批判」を一蹴し、堂々と日本街の営業を続けてほしかった。

 

筆者:桑村朋(産経新聞外信部)

平成22年入社。京都、姫路、神戸各総支局、大阪社会部で事件や行政を担当。約1年間の中国留学を経て、今年4月から東京外信部で勤務。

 

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2021年10月30日付産経新聞【記者発】を転載しています

 

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