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【主張】周庭氏逮捕「戦車なき天安門事件」だ

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これは「戦車なき天安門事件」の始まりである。中国は軍隊によらずとも香港国家安全維持法(国安法)を武器に自由を封殺し、民主派を根絶やしにするつもりだ。

 

香港の自由を求める欧米や日本に対しても明確な挑戦状を突き付けたに等しい。これを看過してはならない。日本の危機でもある。

 

日本でも著名な香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏が、国安法違反容疑で香港警察に逮捕、保釈された。香港紙で唯一民主派支持の論陣を張ってきた蘋果(ひんか)日報の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏や同紙社長らも同法違反容疑で相次ぎ逮捕された。香港基本法で保障された「一国二制度」を滅ぼす国安法下で、自由を守る戦いを続けてきたリーダーたちへのあからさまな迫害である。

 

周氏は2014年の香港民主化運動「雨傘運動」のリーダーのひとりだ。日本アニメのファンで日本語も流暢(りゅうちょう)に話す。香港の「民主の女神」と注目された彼女は自らの収監を予期しつつ、「これからも戦い続ける」と語ってきた。

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香港政府や中国への批判的な論調で知られ、周氏ら民主派も愛読するのが蘋果日報だ。編集幹部は「市民の知る権利を守る」と本紙に語っていた。香港警察は同社編集局へも大掛かりな家宅捜索に入った。報道・言論の自由に対する露骨な侵害である。

 

国際社会に支援を求める彼らを「外国勢力と結託して国家に危害を加えた」と断罪するのが国安法だ。逮捕は見せしめでもある。

 

一連の逮捕をポンペオ米国務長官は「中国共産党が香港の自由と人権を侵害しているさらなる証拠だ」と批判した。

 

菅義偉官房長官は「重大な懸念を有している」と述べたが、従来の繰り返しにすぎない。中国依存の経済界に気兼ねしてモノが言えぬなら、それはおかしい。旗幟(きし)を鮮明にすべきだ。

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米国は先に林鄭月娥行政長官を含む政府高官や中国共産党幹部ら11人を制裁対象に指定した。全体主義国家の強権ぶりを見過ごすのは加担するのと同じである。日本政府はそう肝に銘じ、具体的な制裁措置を実行に移してほしい。

 

国際社会は中国の不当な行動に抗していかねばならない。迫害から逃れる香港人の受け入れに門戸を広げるなど目に見える支援も早急に検討すべきだ。

 

 

2020年8月12日付産経新聞【主張】を転載しています

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