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【主張】奄美など世界遺産 生物多様性を知る好機だ

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鹿児島、沖縄の両県にわたる「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の4島の世界自然遺産への登録が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関によって勧告された。正式決定は7月の見通しだ。

 

日本では、「小笠原諸島」(東京)から10年ぶりの自然遺産登録で、5件目となる。

 

黒潮と緯度の影響で温暖・多湿な亜熱帯性気候の下にある、これらの島々には常緑樹林が繁茂し、固有の動植物が分布する。アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコ、ルリカケス、ヤンバルクイナなどがその顔ぶれだ。4島を含む一帯は南海の自然風土が育んだ「進化の宝石箱」である。

 

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琉球弧の一部を成すこの地域のユネスコの自然遺産登録を機に、自然環境と動植物が織りなす精緻な生態系の保全につながる一層の意識の高まりを期待したい。

 

20世紀以降に顕著となった人間活動の急速な拡大に伴い、地球には、多くのストレスがかかっている。その表れが大気中の二酸化炭素濃度の上昇がもたらす気候への悪影響の危惧であり、魚類の量より多くなろうとしている海洋プラスチックの問題である。

 

この2大環境問題以上の重要性があるにもかかわらず、人々に認識されにくいのが「生物多様性」の問題だ。環境省の調査でも生物多様性の意義に関する理解は低迷傾向が続く。

 

二酸化炭素とプラスチックごみの削減も、ともに生物多様性を損なわないための手段である。

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人類が生存できるのも生物多様性があってのことだ。

 

地球に注ぐ太陽エネルギーを植物プランクトンや陸上植物が受け止めて生育し、それを魚介類や草食動物が摂食し、さらには肉食動物が捕食する。

 

生物界の動的安定性は、多種多様の生物種が存在することで支えられている。今回の自然遺産エリアには人々の関心を引く希少種も多い。生物多様性が持つ意味をじっくり考える好機であろう。

 

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コロナ禍が終息すれば、自然遺産に登録された南の島々への観光客も増えるだろう。自然と野生に負荷をかけることなく、素晴らしさを体感するエコツーリズムの導入で、地域の経済振興にも役立ててもらいたい。

 

その効果は、次世代への豊かな自然の継承につながる。

 

 

2021年5月16日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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