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【主張】若い芽育つ土壌を耕そう

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うれしいニュースが相次いでいる。

 

ポーランドで開かれたクラシック音楽の世界三大コンクールの一つ、ショパン国際ピアノ・コンクールで日本の反田恭平さんが2位、小林愛実さんが4位に入賞した。日本人が2位になったのは約50年ぶりの快挙だ。

 

小林愛実さん

 

スイスでは若手音楽家の登竜門、ジュネーブ国際音楽コンクールのチェロ部門でドイツ在住の上野通明さんが優勝した。両コンクールとも新型コロナウイルス禍で開催が延期されていた。

 

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上野通明さん(右)

 

朗報はまだある。ハンガリーのバルトーク国際コンクールの弦楽四重奏部門で、桐朋学園大出身の4人による「クァルテット・インテグラ」が1位になった。

 

いずれの快挙も成し遂げたのは20代の若者だ。日本の若い音楽家が世界のトップレベルにあることを示す結果だろう。コロナ禍で芸術文化活動が著しく制限された間にも、若い芽が着実に育っていたことが喜ばしい。

 

11月3日は文化の日だ。

 

文化ほど幅広い意味を持つ言葉はない。茶道や華道といった伝統文化、料理などの生活文化、言葉や文学、宗教に、アニメなどサブカルチャーもその一種だ。形のあるもの、ないものもある。

 

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大きくとらえれば、人間がその長い営みの中で生み出してきたものと定義できるだろうか。人を人たらしめる本質的な要素といってもいいかもしれない。

 

ところがその価値がコロナ禍で問われることになった。文化は不要不急のものなのか。そんな疑問が語られることもあったが、これは不毛である。むしろ今こそ、人らしく生きるために欠かせぬ文化の価値を再認識すべきだ。

 

反田さんと小林さんは、子供時代に同じピアノ教室に通っていた幼なじみだという。2人を導いた先生のように、文化の種をまく人をもっと増やしたい。

 

反田恭平さんと小林愛実さん

 

反田さんはポーランドで研鑽(けんさん)を積んでいる。上野さんはベルギーでも学ぶ。若い芸術家を育てる環境を整え、社会全体で成長を支える。そんな土壌作りにも日本は力を入れなくてはならない。

 

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11月3日は明治天皇の誕生日である。明治には天長節、戦前まではその遺徳をたたえる明治節だった。それが戦後に文化の日となった。文化の大切さを考える日だからこそ、この日の成り立ちにも思いを馳(は)せたい。

 

 

2021年11月3日付産経新聞【主張】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

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