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【主張】連絡事務所爆破 北朝鮮にアメを与えるな

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北朝鮮が6月16日夕、南北融和の象徴である開城の共同連絡事務所を爆破した。予告3日後の実行である。北朝鮮は韓国との全通信線を遮断し、軍事境界線付近の軍備強化にも着手した。

 

脱北者団体による金正恩朝鮮労働党委員長への批判ビラ散布を許した韓国への報復というが、あまりに短絡的で過激な反応だ。韓国への敵対姿勢は自らの焦燥感の裏返しではないのか。

 

北朝鮮は、板門店宣言にある韓国の経済協力が実施されていないことに不満を表明している。国連制裁下では不可能な協力を約束した文在寅大統領は、まず前のめりの対北外交を反省すべきだ。

 

ただ、それ以上に重要なのは危険な行為に譲歩などのアメを与えないことである。文氏は特使派遣を目指したが拒否された。対話の呼びかけは通用しない。融和路線と決別し、毅然(きぜん)とした態度でこの局面に向き合ってもらいたい。

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北朝鮮の敵対姿勢は現在、韓国のみに向けられている。だが、その視線は米国や日本など関係国にも注がれているとみるべきだ。

 

米朝交渉は行き詰まり、正恩氏がパイプを持つトランプ米大統領は選挙を控えている。制裁緩和の展望が開けない。突出した行為は気を引く狙いもあるのだろう。

 

日米もまた、アメを与えないことを肝に銘じねばならない。今一度、「最大限の圧力」の原則を確認し、韓国に足並みをそろえるよう求めていく必要がある。

 

北朝鮮は旱魃(かんばつ)などで人口の約4割の1千万人が食料不足に直面しているとされる。その中でのコロナ禍だ。感染者は一人もいないとしているが、首都平壌の住民はマスク着用を続け、検温や消毒などの徹底が呼びかけられている。経済面で頼みの綱だった中国やロシアとの行き来は途絶えた。

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体制維持へ金正恩政権が焦るべき要因はいくつもある。ビラが敵対姿勢のきっかけとなったのは、経済的な苦境で住民の気持ちが揺らいでいる証左といえよう。

 

正恩氏の妹の与正・党第1副部長が指導者のごとく振る舞っていることも、正恩氏の健康不安説とあいまって気がかりだ。不測の事態への備えも欠かせない。

 

北朝鮮が苦境を脱するには、平和的方策を取るしかない。核・弾道ミサイルを放棄し、拉致問題解決など過去の犯罪行為を清算することだ。危険な行為や駆け引きは絶対に認められない。

 

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2020年6月18日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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