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【主張】処理水の海洋放出 妖怪「風評」の根を絶とう

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東京電力福島第1原発の敷地内に並ぶ処理水の保管タンク(手前)
=2022年2月

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東京電力福島第1原子力発電所の汚染水を浄化した「処理水」の海洋放出実現に向けて事態が一歩進んだ。

 

原子力規制委員会によって18日、東電の放出実施計画が妥当と認められた。一般からの意見公募を経て正式認可となる運びだ。国は昨春、処理水を海洋に放出する方針を決定しており、その実現に整合する判断である。

 

2月には国際原子力機関(IAEA)の来日チームが放出計画の安全性の検証作業を行い、4月末に「人への放射線の影響は日本の規制当局が定める水準より大幅に小さいことが確認された」などとするコメントを発している。

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岸田文雄首相と面会するグロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長=5月20日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

 

東電の計画は、第1原発から1キロ沖まで海底トンネルを掘り、希釈した処理水をその先端から放出するというものだ。

 

処理水には多核種除去設備(ALPS)でも除けない放射性元素のトリチウムが残存するが、計画では放出前に大量の海水で薄めて1リットル当たりのトリチウム濃度を国の排出基準(6万ベクレル)の40分の1以下にすることになっている。

 

こうした取り組みと並行して福島事故による日本産食品への輸入規制の緩和も中国、韓国などを除いて進んでいる。今年に入って台湾、英国で改善への動きが見られたことも放出への追い風だ。

 

原子炉建屋に地下水や雨水が流入することで放射能汚染水が生じている。それを浄化した処理水も増え続け、第1原発の敷地に千基以上、林立する大型タンク群をもってしても限界が迫る。

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東京電力福島第1原発を視察するIAEAのグロッシ事務局長(右から2人目)。奥は処理水を保管するタンク=5月19日(代表撮影)

 

海洋放出は不可避であり、福島復興につながる廃炉工程を前に進めるためにも必要なのだが、漁業関係者の反対意見は依然として根強い。放出による風評被害を警戒してのことである。

 

この風評が難物だ。事故当事者である東電だけの手に負えるものではない。解決能力を有するのは国をおいて他にない。風評は非科学に巣食(すく)う妖怪だ。

 

規制委の更田豊志委員長は計画了承後の記者会見で、健康や海産物への海洋放出の影響は「科学技術的には到底考えられない」が、「多くの人の関心事なので丁寧に審査した」と語った。IAEAのグロッシ事務局長も来日し、19日に第1原発を視察した。

 

残るは岸田文雄首相による風評の根を絶つ、国民への明確な説明だ。全力を注いでもらいたい。

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2022年5月20日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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