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【めぐみへの手紙】お父さんの死去から2年 ウクライナ侵攻、米大統領との面会 「日本も毅然とした言動を」

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昭和50年に山口県萩市へ家族旅行に行った際、横田滋さんが撮影した写真。
早紀江さんは先月の米国のバイデン大統領との面会でこの写真を示し、
めぐみさん(右端)を奪われた苦しみを伝えた

~~

 

めぐみちゃん、こんにちは。日本は日差しのまぶしい日が増え、初夏の力強い命の息吹を感じます。あなたとの再会を、誰よりも強く望んでいたお父さんが天に召されてから、5日で2年になります。

 

自宅に飾る写真に「お父さん、おはよう」と声をかけるのが、1日の始まりです。その日のちょっとした出来事を報告したり、折に触れてお花や酒を供えたりします。

 

先日、米国のバイデン大統領と面会しました。

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お母さんは、山口へ家族旅行に行ったとき、お父さんが撮影した写真を携え、思いを伝えました。私やめぐみちゃん、弟の拓也、哲也が笑顔で並んで歩いているものです。

 

被害者の親世代で参加したのはお母さんと、有本明弘さんの2人だけ。椅子に座らせてもらいましたが、大統領は私の前で膝をつき、目をしっかり見つめ、「子供がいなくなった親の気持ちは、本当にわかる」とおっしゃいました。

 

バイデン大統領は、病気などでお子さんを亡くした経験をお持ちで、私たちへの共感を伝え、拉致解決への協力も約束してくださいました。お父さんと同じように、とても優しい思いを持った方でした。

 

世界ではきょうも、厳しく、冷酷な現実が繰り広げられています。

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ロシアの侵略を受けたウクライナでは、ゼレンスキー大統領が祖国を守る戦いの先頭に立ち、国民は命懸けで戦いを続けています。

 

北朝鮮による拉致事件は、重大な主権侵害であるという点でウクライナ侵略と同じです。なぜ長年、解決の日を見ないのか。決然とした態度で、北朝鮮の胸にするどく刺さるような言動が、日本の政治家にも必要ではないでしょうか。

 

私たち家族に、もう後はありません。昨年12月、家族会代表として長く救出運動の先頭に立ってくださった飯塚繁雄さんが亡くなりました。妹の田口八重子さんとの再会を果たせず、どれほど無念だったか。

 

そして、家族会代表は拓也が引き継ぐことになりました。お父さん、飯塚さんに続く3代目の代表です。私たち親世代で決着するはずだった拉致問題は、ついに子供の代まで、その宿業を負わせることになってしまいました。

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これがどれほど異常で、残酷なことか。政治家、官僚の方々には、現実を直視していただきたいのです。僅かでも局面に風穴を開け、拉致問題を進展させるきっかけとするため、一人でも多くの日本国民、世界中の皆さまに声をあげていただくことが今、必要です。

 

北朝鮮ではこのところ、新型コロナウイルスの拡大が伝えられています。めぐみちゃんや、被害者の健康が本当に気がかりです。

 

こうした北朝鮮の異変を機会ととらえ、日本政府、そして国際社会は果断に行動してもらいたいと思います。そして、最高指導者、金正恩氏を決断に導き、すべての被害者の帰国につなげていただきたい。

 

家族会は、親世代が存命なうちに被害者と再会がかなわなければ、本当の解決とはいえないと訴え続けています。

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それでも時の流れは残酷で一人、また一人と、悲しい別れが続きます。

 

めぐみちゃんのおじさんにあたるお母さんの兄も先月、この世を去りました。長く地元・京都で療養し、見舞いに行くたび、あなたの写真を見ながら、「めぐみはどうしているかな」と気にかけていました。

 

命に限りがあることは分かりきったことですが、肉親との離別は本当に辛く寂しいものです。

 

お母さんは86歳になりました。来年で、お父さんが亡くなった87歳に並ぶ年齢です。声が出にくくなり、集会などで長い時間、お話をすることはもう、かないません。

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お父さんが亡くなった2年前、その遺志を継ぎ、最後の最後まで精いっぱい戦い抜くと誓いました。その思いに寸分の揺らぎはありませんが、やはり体力の衰えは隠せません。

 

平成21年に米国のヒラリー・クリントン国務長官(当時)と面会後、取材に応じる飯塚繁雄さん(右)、横田滋さん、早紀江さん夫妻。米国をはじめとする国際社会への訴えも長年続けてきたが、願いはかなわないまま滋さん、繁雄さんは亡くなった=東京都港区の米国大使館前

 

皆さまの温かい心遣いに支えられ、なんとか日々を生きています。

 

混迷を極める国際情勢の核心は、私たち庶民には分かりませんが、今、日本の国のありようが問われていると感じます。

 

侵食を許し、国民を理不尽に奪われたまま、取り返せないのは、国家の恥に他なりません。

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拉致問題は、私たち横田家や、限られた一部の家族の問題では決してありません。拉致を許し、今も解決できない国のありようを思うとき、同じ惨禍が再び、日本を襲うことになりかねません。

 

お父さんの遺骨は壺に入ったまま、今も自宅に置いています。生きて抱きしめ合うことができなくなった以上、せめてめぐみにこの壺に触れてもらいたい。拓也、哲也とそう話し合い、決めたことです。

 

そのためには、あなたが元気で、一日も早く、祖国の土を踏むことが必要です。どうか心を強く持ち、健康に十分に気を付けて暮らしてください。お母さんは懸命に祈りをささげ、解決への思いを広げて、再会の時を信じ、待ち続けています。

 

筆者:横田早紀江

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2022年6月4日付産経新聞の記事を転載しています

 

これまでにJFに転載した【めぐみへの手紙】はこちら

 

 

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