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成長できなくなった中国

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中国で、不動産市況悪化により開発業者が資金繰り難に陥り、
建設工事が中断するマンションが全土に広がっている。
北京市郊外のマンション建設現場。
重機は動いていなかった
=8月2日(三塚聖平撮影)

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中国景気再浮揚のメドが立たない。牽引(けんいん)役の不動産開発が住宅バブル崩壊とともに沈む。金融の量的拡大が欠かせないが、人民元発行の裏付けとなる外貨準備が増えないので無理だ。焦る習近平国家主席は、対台湾強硬路線にぐっと傾く。

 

中国発スマホアプリ、「WeChat」搭載のショートムービーが8月2日夜、中国の若者を熱狂させた。米下院のペロシ議長がマレーシアを出発して、台北に向かう米要人輸送用フライト「SPAR19」と、それを追尾する中国軍の機影をリアルタイムで放映、SPAR19を撃ち落とせとあおったのも同然だ。中国の都市部、16~24歳の平均失業率は上昇を続け、6月は19・3%にもなる。不満のはけ口は外に向かいやすい。

 

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グラフを見よう。中国の景気動向を示す3カ月ごとの国内総生産(GDP、実質ベース)、不動産開発投資、住宅価格(全国ベース)、セメント生産量(各期末までの6カ月合計)と、中国人民銀行の外貨資産および人民元発行高の前年同期比増減率を重ね合わせている。景気関連の4つの指標が重なるように振れている。中国経済特有の現象である。

 

中国の土地は「人民所有」という建前のもとに、人民を代表する共産党員が支配する地方政府が配分権を行使し、所有権を不動産デベロッパーに販売する。共産党官僚は発券銀行である中国人民銀行と国有商業銀行の要職を占め、カネの発行と配分も支配する。

 

地方政府は不動産開発資金調達と融資のための機関「融資平台」を運営する。要するに、土地もカネも党がすべてを仕切るのだから、経済成長させようとすれば簡単である。共産党の強権のもと、山林原野、農地、旧市街地、墓地をも含むあらゆる用地をブルドーザーで平らにし、あとはセメントを使った構造物、すなわち固定資産を建設すればよい。カネは党指令でふんだんに流れてくるはずだ。

 

中国の固定資産投資は長年、GDPの4割以上を占めている。ちなみに日本は25%前後、米国は18%程度、欧州は二十数%の水準で推移している。中国の固定資産依存は突出している。固定資産投資にはマンションや商業ビルばかりでなく、工場など産業設備のほか、高速道路、空港などのインフラも含まれる。中国のインフラ整備はかなり進み、最近数年間は不動産開発投資が主役になっており、GDPを牽引してきた。

 

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中国は党がその気になればいくらでも人民元を刷って、不動産投資主導で高度経済成長を続けられると思わせるが、もはやそんな時代は過ぎた。

 

グラフの住宅価格の下落が示すように、住宅バブル崩壊同然の状況にある。上海など主要都市の多くの中間層は2件目、3件目のマンションを購入済みだ。年金など社会保障に不安がある中で、中間層の多くは不動産資産で富を蓄えようとする。しかも、中国の高齢化は猛スピードで進む。退職年齢60歳以上の層の15~59歳の現役世代比率は2021年で3・4人、10年前の5・1人から急減し、27年には2人以下になりそうな情勢だ。現役世代の縮小とともに新規住宅需要も減り続けるだろう。

 

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もっと致命的な問題がある。人民元の財政・金融だ。李克強首相は7月19日、世界経済フォーラムのオンライン会合で「高すぎる成長目標のために、大型の景気刺激策や過剰に通貨を供給する政策を実施することはない」と言明した。実質経済成長率はグラフにある通り、今年4~6月期は前年比で0・4%に落ち込み、今年の成長率目標5・5%前後の達成は困難だ。党中央は前年末に成長率目標を決めて、翌年の全国人民代表大会で政府方針として採択し、あとはカネを動員して目標達成というパターンだったが、李氏はそうしない。したくてもできない事情があるからだ。

 

本欄でも何度か指摘したように、中国の資金発行は人民銀行の外貨資産(外貨準備に相当)に依拠している。グラフが示すように、外貨はほとんど増えていない。人民元発行も従って抑制せざるをえない。中国は足りない外準を増やそうと外国からの証券投資を呼び込むのに躍起となっているが、ロシアのウクライナ侵略以降、外国投資家の対中投資は細っている。また、中国軍が台湾侵攻すれば、米国は対中金融制裁に踏み切り、中国に外貨は入らなくなるだろう。

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本グラフは中国経済の長期停滞と同時に、台湾有事が習氏自身の破滅になることを示唆している。

 

筆者:田村秀男(産経新聞編集委員)

 

 

2022年8月6日付産経新聞【田村秀男の経済正解】を転載しています

 

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