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「近接覚センサー」でロボットと隣り合わせの世界に 阪大院小山佳祐助教らが起業

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Thinkerの近接覚センサーを組み込んだロボットハンドだと、
これまでは難しかった透明な板ガラスも簡単につかめる(同社提供)

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大阪大学大学院基礎工学研究科の小山佳祐助教らが、近接する物体の位置や姿勢を検知する「近接覚センサー」を開発販売するベンチャー企業を立ち上げた。このセンサーをロボットに組み込むと、ロボット本体と対象物との位置関係がより正確に把握できるため、ロボットと人間が隣り合わせで同じ作業を行うことができるようになる。

 

新会社「Thinker(シンカー)」は、小山助教と、ロボットベンチャー「ATOUN(アトウン)」元社長の藤本弘道氏ら4人が参加。資本金は300万円で小山助教と藤本氏が半額ずつ出資し、12日付で設立した。新会社の社長には藤本氏、取締役には小山助教がそれぞれ就任した。本社は大阪市中央区に置いた。

 

 

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紙やガラス板を簡単につかめる

 

近接覚とは、視覚とも触覚とも異なる対象物の認知方法。見たり、触ったりせずに対象物の存在を認知する。小山助教の研究成果をもとに開発された近接覚センサーは、4個の赤外線センサーと人工知能(AI)を使って対象物の大きさや形状、距離、傾きをリアルタイムに計測し、対象物の特性を的確に把握する。この近接覚センサーをロボットのアームやハンドに組み込めば、自律的に対象物をつまんだり離したりできるようになる。これまでのセンサーでは難しかった鏡面や透明な物体も独自の技術で把握できるようにした。

 

早ければ9月末にも、産業用ロボットメーカーなどにセンサーのサンプルの提供を始める。

 

Thinkerの近接覚センサーの試作品。円形の穴にある4個の赤外線センサーで対象物の存在を検知する(同社提供)

 

現在の産業用ロボットは、カメラで撮影した画像を処理する演算回路で対象物の位置や姿勢を特定してから、アームやハンドが動くものがほとんど。ただこの場合、位置を特定した後に対象物が動いた場合はつかめない。近接覚センサーを、ロボットのアームやハンドに組み込めば、「例えば、紙のような薄いシート状のものも簡単につかめるようになるなど、ロボットの行動の範囲が広がる」(藤本社長)。ガラス板のような反射物の存在も正確に認識できるという。

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人とロボットが数センチまで接近して作業も

 

企業の生産現場では幅広く使われているアームロボットは、接触事故を防ぐため、ロボットから約30センチほど離れた場所に囲いを作るケースがほとんど。近接覚センサーをアームロボットに組み込めば、ロボットの周囲の位置関係の把握がしやすくなるため、作業員がロボットの数センチそばにまで近づける。人とロボットが同じ作業を手伝いあえる世界が現れそうだ。

 

共同創業者の一人、藤本氏は、パナソニックに勤務していた平成15年、社内ベンチャー制度を使ってロボットベンチャー、ATOUNを立ち上げ、ロボットスーツを開発、販売してきた。だが他社との競合やコロナ禍での販売の不振により、今年4月にATOUNの事業を終了し、7月に清算を終えた。販売済みのATOUN製品の保守などは産業機器組み立て加工のアドバンス(奈良県川西町)が引き継いだ。藤本氏は今後、ATOUNで得た経験や知見を、新会社Thinkerでの製品開発や事業拡大に生かしたいとしている。

 

 

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