韓国海軍、日本の観艦式に7年ぶり参加 首相が視察
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海上自衛隊の護衛艦や世界12カ国の海軍の艦艇が一堂に会する国際観艦式が11月6日、神奈川県の相模湾で行われた。訓示した岸田文雄首相は北朝鮮の弾道ミサイル発射や核開発を非難し、防衛力を5年以内に抜本的に強化する考えを改めて示した。日本で国際観艦式が行われるのは20年ぶり2回目。自衛隊機へのレーダー照射問題などで関係が冷え込んでいた韓国海軍も、日本で行われる観艦式としては7年ぶりに参加した。
首相は海自の護衛艦「いずも」艦上から各国艦艇の航行を視察した。訓示ではロシアのウクライナ侵攻に触れ、「他国の平和と安全を武力の行使や威嚇によって踏みにじるものが現れる事態に備えなければならない」と訴えた。
中国が東・南シナ海への進出を強めており、首相は「海上防衛力が戦略環境を大きく左右する」とも述べ、艦艇の造成やミサイル対処能力の強化などを進める考えを示した。観艦式は米国やインドなどから計18隻の艦艇が参加。ロシアは招待せず、中国は参加しなかった。
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韓国乗組員、自衛艦旗に敬礼 尹政権、安保協力優先
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、自衛隊との共同訓練を巡って野党が「親日国防だ」と非難する中、国内の反発を押し切って日本での国際観艦式への参加を決めた。軍事的挑発をエスカレートさせる北朝鮮の脅威に対し、日米韓の安全保障協力を優先する姿勢を行動で示した形だ。
韓国から派遣された補給艦の乗組員は6日、岸田文雄首相が乗艦した護衛艦「いずも」に敬礼した。
旭日旗と同じ模様の自衛艦旗について韓国では「戦犯旗」などと曲解した批判があり、文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2018年に韓国で行われた観艦式では、韓国が自衛艦旗ではなく、国旗を掲げるよう要求。日本側は参加を拒否した。この際の対応は自衛隊機へのレーダー照射問題と合わせ、日韓関係悪化の大きな要因となった。
最大野党「共に民主党」側は、今回の観艦式参加についても「日本の侵略を容認するというのか」などと極論を持ち出し、「誤った判断で、国民の怒りを買うほかない」と批判した。
朴振(パク・チン)外相は「朝鮮半島周辺の厳しい安保環境を考慮した」と強調。政府は文政権と同じ革新系の金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権時代にも日本の観艦式に参加したり、自衛隊艦艇を自国に受け入れたりした前例がある点や「中国を含め、自衛艦旗を問題視する国はない」と説明し、論駁(ろんばく)した。
北朝鮮のミサイルの脅威に対抗し、9~10月に日本海で日米と共同訓練を行った際も、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「親日国防だ」と非難した。だが、与党側は文政権時代から日本と共同訓練してきたと反論。尹大統領は日米との安保協力の重要性を繰り返し訴えた。
尹政権は日韓間の最大の懸案であるいわゆる徴用工訴訟問題でも、日本企業への実害を避ける解決策を模索している。ただ、原告を中心に日本側の謝罪や賠償を求める世論は根強い。
156人が死亡したソウルの雑踏事件への対応を巡って政府批判もくすぶる。尹氏の支持率が30%を割り込む中、徴用工問題の解決を導き出せるかが、今後の日韓関係を決定づける最大の試金石となりそうだ。
筆者:桜井紀雄(産経新聞ソウル支局)
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