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嵐の前の静けさの中にある 気鋭の弁護士で人気作家の牛島信氏が語る日本の近未来

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Shin Ushijima
牛島信氏

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日本企業のM&Aやコーポレート・ガバナンス(企業統治)、会社訴訟などの分野で活躍する弁護士で、人気作家でもある牛島信氏が、JAPAN Forwardとのインタビューで、日本の近未来について論じた。

 

牛島氏は、日本は今、「嵐の前の静けさの中にある」と述べ、いずれ変革の時がやってくると予測した。同氏は最近、自らのベストセラー、ビジネス・ロー・ノベル『少数株主』(幻冬舎文庫、2018年出版)の英訳版を完成させた。日本の株式会社のほとんどを占める「非上場会社」の少数株主が置かれた、日本だけにある理不尽な状況を世に訴えた作品だ。JAPAN Forwardは、会社経営の問題にメスを入れたこの英訳版『少数株主』を作者の了解を得て、近く連載で読者にお届けする。

 

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――日本の現状をどのように見ていますか

 

日本は経済的にどんどん落ち込んでいる。明るい展望をいまは持てないという感じがある。どういう風にとらえていくべきか、考えている。時として、私を含む、戦後民主主義を心底信じている団塊の世代がこの世からいなくなり、世代が変わるまでは日本の復活は難しいのではないかという暗澹たる気持ちになることすらある。日本はいま、明治以降の日本を形作った思想家、吉田松陰(1830~1859年)のような精神的指導者を探している時期なのではないか。安倍晋三元首相がああいった形で亡くなり岸田文雄首相に引き継がれた。そこに大きな意味があるかもしれません。

 

――どういうことでしょう。

 

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いま日本は、嵐の前の静けさの中にいるのではないかという気がするのです。安倍晋三元首相は予めそのことを知り、準備をして、その途上で凶弾に倒れたのだと思います。もし、仮に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が中国に奪取されたら、日本の世論は沸騰し、ナショナリズムが沸き上がるだろう。若い人たちは反応しない、という人もいるが、私は、日本が侵略されたとなったら、日本人は立ち上がると信じている。それは、ウクライナの人たちがなぜロシアと戦わなければならないのか、を考えたら直ぐにわかることです。福沢諭吉(1835~1901年)が述べた言っていること、つまり自らの独立を守るためには国の独立を守らなければならないということではないでしょうか。国の独立とは、個人が自由を求めることでしょう。そう私は思います。

 

Shin Ushijima

丸の内センタービル (ウィキペディアより)

 

――世代交代や戦争によって変革の時が日本にやってくるということですか

 

日本の戦後とは何だったのか。財閥解体があった。その結果、三菱地所が2つに分割され、その片割れの陽和不動産の株の買占め事件を契機に、それを防衛するための株の持合いが始まった。それが基礎となって、日本的な株式会社制度が出来上がった。それが上手くいって、戦後復興、高度成長を遂げ、石油ショックも克服した。しかし、その後の状況を冷静に見れば、日本はバブル経済に浮かれている間に、護送船団方式の日本的株式会社制度、株の持ち合いによる株式会社の形式を用いた従業員協同組合を解体させられたのです。それから約30年が経つが、われわれはまだ新しい道を見いだせずにいる。だが、変革の時は必ずやってくる。

 

――ベストセラー小説『少数株主』では、そんな日本の株式会社のほとんどを占める「非上場会社」の経営の問題点を描き、話題になりました

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日本の非上場の株式会社では、オーナーと従業員が大事で、その他の株主は重要ではない。特に、日本の法律では、少数株主は、株を売ることもできない、一方で、少数株主が死亡すると、その遺産である少数株が容赦のない膨大な税金を相続人にかけてくる。実際に起きた事例をもとに日本の歪な現状を描いた小説です。

 

なんと理不尽なことが起きている国なのか、という憤慨の思いからこの小説を書きました。非上場の株式会社制度は歪んだまま放置されている。戦後、株主が軽視され、少数株主に至っては無意味な存在としか扱ってこなかった非上場の株式会社の本質を突いた小説だと自負しています。

 

――この小説を書いた後、日本の状況は変わりましたか

 

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変わりません。ただ、小説を書いたら、「私のことを助けて欲しい」という連絡がいっぱい来ました。少数株主も、株主平等の原則の下でフェアに扱われなければならないと裁判所の理解が進み始めたという意味では、大きく前進したと思います。しかし、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の考え方では、まだまだです。

 

コーポレート・ガバナンスの問題は多くの企業に残っている

 

――なぜ、英訳されたのですか

 

外国人の友人が自分も読みたいと言ったからです。これまでに多くの本を出していますが、この前作である『株主総会』は英語と韓国語で出ました。『買収者』も英語版を出しました。

 

――『少数株主』の連載がJFで始まります。読者へのメッセージをお願いします

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それぞれの国にはそれぞれ違う株式会社のシステムがある。日本にはこの小説に描かれているような株式会社制度がある。これはいずれ変わっていくと思う。しかし、将来、全世界共通の制度ができるとは思わない。各国の制度がこれからどう変わっていくのか、私は大変、興味を持って注視していきたい。

 

聞き手:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)

 

■小説『少数株主』 日本の株式会社のうち、99.8%は「非上場」で、「非上場」の株式会社では、オーナー経営者やその一族が株式を大量保有する大株主であることが多い。大株主以外がいわゆる少数株主だ。本書に登場するオーナー経営者たちは、会社負担で贅沢をしたり、過度な報酬を家族に与えたりと公私混同を繰り返す。こういった非上場会社の経営は、大株主であるオーナー経営者の思いのままで、コーポレート・ガバナンスが機能しなくなっている。一方、わずかな株を相続しただけで、巨額の納税を迫られる。このエピソードから物語は始まる。

 

■牛島信(うしじま・しん) 1949年生まれ。東京大学法学部卒業後、検事を経て弁護士になり、牛島総合法律事務所の代表パートナー弁護士として、多くのM&Aやコーポレート・ガバナンス関連の案件を手掛けてきた。日本生命社外取締役、朝日工業社外監査役、NPO日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長、東京広島県人会代表理事などに就任。著書に小説として『株主総会』『少数株主』など10冊、エッセイ集として『身捨つるほどの祖国はありや』、『日本の生き残る道』など9冊。「ビジネス・ロー・ノベル」というジャンルを切り開いた人気作家でもある。

 

 

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