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【主張】日米首脳会談 世界の平和へ結束示した 同盟の決意を中朝は見誤るな

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岸田首相とバイデン米大統領=1月13日、米ホワイトハウス(ロイター)

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日本の安全保障政策の歴史的転換を踏まえ、日米両首脳が中国や北朝鮮、ロシアを念頭に、日米同盟の抑止力と対処力を強化する方針を内外に示した。日本とインド太平洋地域、世界の平和に寄与するもので、高く評価できる。

 

岸田文雄首相が米ワシントンのホワイトハウスで、バイデン米大統領と会談した。首相は、反撃能力保有を明記した国家安全保障戦略などの改定や防衛費増額の方針を説明した。大統領は「日本の果敢なリーダーシップ」をたたえたうえで全面的に支持し、日米同盟を現代化すると言明した。

 

首相は訪米に先立つ、先進7カ国首脳会議(G7サミット)メンバーのフランス、イタリア、英国、カナダ歴訪でも、防衛力強化を評価された。

 

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防衛強化は国際公約に

 

防衛力抜本強化の実行が日本の国際公約になったといえる。

 

日米の共同声明は、インド太平洋地域の秩序が中国や北朝鮮によって挑戦を受けていることや、欧州でのロシアによるウクライナ侵略を挙げ、「力または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」と明記した。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促した。北朝鮮による日本人拉致問題への米国の協力も盛り込んだ。

 

日米両首脳は、自衛隊の反撃能力などの開発、効果的運用へ協力するよう閣僚に指示した。首相は米国製巡航ミサイル「トマホーク」導入を伝え、大統領は強い支持を表明した。これは、反撃能力を早期に運用するためだ。

 

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両首脳は会談で、昨年両国がそれぞれまとめた国家安全保障戦略について「軌を一にしている」と確認した。

 

中国や北朝鮮は、北東アジアを含むインド太平洋地域の平和維持を追求する日米両国の決意を見誤ってはならない。

 

今回の首脳会談に先立ち、ワシントンで日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれた。

 

long-range missiles Japan-US alliance

2011年3月、米ミサイル駆逐艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」(米海軍提供・ゲッティ=共同)

 

 

日本の反撃能力の効果的な運用に向けて協力することや、宇宙空間での攻撃が日米安保条約第5条(対日防衛義務)の適用対象になり得ることを確認したのは当然である。反撃能力をめぐっては、トマホーク売却にとどまらず、標的情報の収集などで協力を得ることで運用が早まる。日本の反撃能力を日米共同作戦へ組み込むことも抑止力を向上させる。

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Japan-US alliance

日米安全保障協議委員会(2プラス2)に臨む(左から)オースティン国防長官、ブリンケン国務長官、林外相、浜田防衛相=1月11日、米ワシントン(外務省提供)

 

首脳会談と2プラス2では「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」見直しは論じられなかった。現行指針でも日本の反撃能力運用は可能だ。指針の改定作業に要員と時間を割くよりも、共同作戦の新計画の策定や日米共同訓練を重ねる方がはるかに重要だ。抑止力向上へ残された時間は有効に使うべきだ。

 

 

核抑止の具体策必要だ

 

物足りない点もある。大統領は共同声明で、核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛への揺るぎない責務を表明した。2プラス2では、米国の核兵器と通常戦力で日本を守る「拡大抑止」について協議もあった。それはよいとしても、中国、北朝鮮、ロシアが核戦力を増強する中で、日本を守る核抑止態勢の具体的強化策は示されなかった。今後の課題である。

 

岸田首相を出迎えるバイデン米大統領=1月13日(ロイター)

 

日米首脳の共同声明が、中国を念頭に、経済安全保障分野の協力方針を示した点も重要だ。日米を「民主主義的な二大経済大国」と位置づけ、半導体などの重要・新興技術の保護、育成や宇宙、原子力エネルギー協力の分野で両国の優位性を一層確保すると明記した。法の支配に基づく国際秩序を守るためには、軍事、外交上の安全保障だけでなく、経済安全保障の強化が欠かせない。

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首相はワシントンのジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院で講演し、昨年12月の安保政策転換を吉田茂元首相の日米安保条約締結、岸信介元首相の安保条約改定、安倍晋三元首相の安保関連法制定に続く「日米同盟の歴史上最も重要な決定の1つ」と語った。「日本は、世界の平和と繁栄や自由で開かれた国際秩序を能動的に創り出していく決意だ」と強調した。首相の認識は正しい。

 

現代日本は平和を守れるか、抑止に失敗して侵略されるかの分岐点にある。成否は防衛力が主体の抑止力強化の実現にかかっている。首相は使命感をもって迅速かつ確実に進めてもらいたい。

 

 

2023年1月15日付産経新聞【主張】を転載しています

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