日銀次期総裁に植田氏 初の経済学者出身 14日国会提示

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日本銀行本店の外観=2022年5月2日午後、東京都中央区(岩崎叶汰撮影)

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岸田文雄首相は4月8日に任期満了となる日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁(78)の後任に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)を起用する方針を決め、2月10日、与党幹部に伝えた。戦後初の経済学者出身の日銀総裁となる。副総裁には前金融庁長官の氷見野(ひみの)良三氏(62)と日銀理事の内田真一氏(60)を充てる。14日に国会に人事案を提示し、衆参両院の同意を得て、政府が任命する。

 

日銀総裁の交代は約10年ぶりで、日本の金融政策は節目を迎える。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の柱として、黒田氏が主導した異次元の金融緩和は企業収益の向上や株高などにつながったが、急激な円安や物価高などで弊害も指摘される。いかに「出口戦略」を描くかが植田氏の課題になる。

 

2016年5月、G7財務相・中央銀行総裁会議の開幕に先立ち開かれたシンポジウムに臨む植田和男氏(右)。左は日銀の黒田総裁=仙台市(共同)

 

植田氏は金融政策の研究が専門。東大教授を経て、平成10年に日銀審議委員になり、17年まで7年間務めた。在任中は金融政策を理論面から支える役割を果たし、金融緩和に積極的なことで知られる。日銀と財務省(旧大蔵省)出身者以外が総裁に就くのは、昭和44年まで務めた宇佐美洵(まこと)氏(旧三菱銀行出身)以来となる。

 

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首相は8日の衆院予算委員会で、次期総裁の人選に関し、「主要国中央銀行トップとの緊密な連携、内外の市場関係者に対する質の高い発信力と受信力が格段に重要になってきている」と述べていた。

 

植田和男氏(共同)

 

副総裁候補の氷見野氏は国際的な金融規制づくりなどに携わり、海外の金融当局や金融機関に知己も多い。内田氏は日銀で金融政策の立案を担う企画局を中心に歩み、黒田体制の下で実務を担ってきた。

 

氷見野良三氏(共同)

 

 

新しい総裁は4月9日、副総裁は3月20日にそれぞれ就任する見込み。任期はいずれも5年。現在の副総裁は、日銀出身の雨宮正佳氏(67)と早稲田大教授から転じた若田部昌澄氏(57)で、3月19日に任期を終える。

 

政府は14日に衆参両院の議院運営委員会理事会に人事案を提示。24日に総裁候補から金融政策運営の考えを聞く所信聴取を行い、早期の同意を得たい考えだ。

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内田真一氏(共同)

 

金融引き締め否定的

 

岸田文雄首相が植田氏に白羽の矢を立てたのは、世界的なインフレに直面する中、安倍晋三政権下で進めた「異次元の金融緩和」を当面は継続しつつ、段階的に出口戦略に導くには最適だと判断したからだ。植田氏は拙速な金融引き締めには否定的とされ、金融緩和の継続を求めてきた自民党安倍派(清和政策研究会)に配慮する狙いもある。

 

「ふたを開けてみたら、『こういうことか』と分かるはずだ」。首相は次期日銀総裁の人選をほぼ終えていた2月初旬、周囲にこんな胸中を明かしていた。

 

「物価の番人」と呼ばれる日銀総裁人事は、首相が掲げる経済政策「新しい資本主義」の帰趨(きすう)も左右する。首相は昨年末から「市場と対話できる人でなければならない」と慎重に検討してきた。

 

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ただ、日銀は黒田氏の下で進めてきた金融緩和の継続か脱却かを迫られる局面を迎えている。一定の継続性を保つ意味でも、新総裁候補には黒田氏を支えてきた現副総裁の雨宮正佳氏や、前副総裁の中曽宏氏も浮上していた。

 

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筆者:永原慎吾(産経新聞)

 

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