「歴史の転換期」防衛力強化 骨太原案判明 エネルギー調達でアジア連携
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政府が6月に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」原案の概要が5日、わかった。現下の国際秩序を「重大な挑戦に晒(さら)される歴史の転換期」と位置付けた上で、防衛力の抜本強化を明記した。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の成果を踏まえ、「G7が結束し、グローバルサウス(南半球を中心とした新興国・途上国)への関与を強化」するなどとして、人的体制や財政基盤の整備をはじめ「外交力の強化を図る」としている。
冒頭、基本的な考え方として、ロシアのウクライナ侵略や世界経済の下振れ、急速な少子化などで日本が「内外の歴史的・構造的な変化と課題に直面している」と指摘。現在の安全保障環境は「戦後最も厳しく複雑」として、昨年末に閣議決定した安保3文書に基づき、防衛装備品の安定的な調達に向けて「持続可能な防衛産業の構築、さまざまなリスクへの対処、防衛装備移転の推進を図る」と言及。「防衛力のみならず、外交力・経済力を含む総合的な国力を活用」し、「総合的な防衛体制を強化する」と明記した。
北朝鮮政策は昨年と同様、日朝平壌宣言に基づき拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を目指すとした。
エネルギー安保の強化では「安全確保を大前提」に原発の活用を明記した。エネルギー調達先の多角化として昨年より踏み込み、アジア各国と連携した液化天然ガス(LNG)の確保など「アジア全体でのエネルギーの安定供給を図る」と記載している。
経済安保政策の焦点である、機密情報の取り扱いを有資格者のみに認めるセキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)の導入に関しては「速やかに結論を得る」考えを示した。
一方、内政面では、岸田文雄政権が掲げる新しい資本主義をテコに「官と民が協働して社会課題を解決し、成長のエンジンとして持続的な成長に結び付けていく」と訴えた。少子化対策は「最も有効な未来への投資」として、児童手当の拡充など「(今月策定する)『こども未来戦略方針』に沿って政府を挙げて取り組みを抜本強化し、少子化傾向を反転させる」と強調した。
新型コロナウイルスに関しては、感染症法上の位置付けが5類に移行したのを踏まえ、後遺症やワクチンの副反応の実態把握に向けた調査・研究を進めるとした。トラブルが相次いでいるマイナンバーカードについては「政府が一丸となって制度の安全と信頼の確保に努める」とし、令和6年秋に健康保険証を廃止すると明記した。
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