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【主張】元首相暗殺1年 安倍氏の「遺言」に応えよ

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「安倍晋三元総理の志を継承する集い」で言葉を述べる岸田文雄首相=7月8日午後、東京都港区(春名中撮影)

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安倍晋三元首相がテロリストの凶弾に倒れてから1年となった。

 

日本と国民のため多くの治績をあげた安倍氏を改めて追悼する。

 

暴力で命を奪い、言論を封じるテロは民主主義への挑戦だ。最大限の言葉で糾弾する。断じて容認できない。

 

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岸田文雄首相は本紙インタビューで「改めて失ったものは大きい」と語った。首相は特に外交・安全保障分野で、安倍氏が敷いた路線を発展させてきた。

 

安倍晋三元首相銃撃現場近くに設けられた献花台で手を合わせる人々=7月8日午前、奈良市(安元雄太撮影)

 

たとえば、反撃能力保有を決めたことは高く評価できる。この安保政策の大転換は、安倍氏が退陣直前の令和2年9月に出した談話に応えたものだ。談話は北朝鮮ミサイルの脅威を前に「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか」と提起した。

 

安倍氏が専制主義中国の台頭を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」を唱え、欧米各国を糾合した功績も大きい。首相もこれを推進している。

 

ただ、安倍氏の「遺言」をしっかりと受け止めきれているかといえば疑問がある。

 

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安倍晋三元首相の銃撃現場付近で花を手向ける親子=7月7日午後、奈良県奈良市(彦野公太朗撮影)

 

安倍氏が晩年訴えたのは「台湾有事は日本有事」という危機認識と、米国の核兵器を共同運用する「核共有」の議論だ。後者の問題提起は顧みられておらず、国民を守るのに不可欠な核抑止態勢は不安が残ったままだ。岸田首相は理想としての核軍縮を説くのと同時に、今このときに国民を守る核抑止の充実強化にも動くべきだ。

 

献花台の設けられた増上寺の境内で、産経新聞社月刊「正論」の安倍晋三写真展の写真が展示されていた=7月8日午後、東京都港区(産経新聞)

 

「自由で開かれたインド太平洋」という新しい戦略概念を自由民主主義諸国に共有させたり、トランプ前米大統領に直言できる関係を築くなど、安倍氏は各国首脳から一目置かれる存在だった。

 

6月のロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱では世界に緊張が走った。首相が安倍氏であれば、欧米の首脳と直接連絡を取り合うなど平和を守るために行動したのではないか。ワグネル反乱をめぐって、岸田首相が率先して動いた形跡はなかった。世界のリーダーと目されるよう努めてほしい。

 

安倍晋三元首相の慰霊碑「留魂碑」に設けられた献花台に花を手向け、手を合わせる女性=7月8日午前、奈良市の三笠霊苑(甘利慈撮影)

 

安倍氏は保守を自任していた。自民党もそうであるべきだが、首相が推進したLGBT法は女性の安全への悪影響が懸念された。国と社会を安定的に発展させる役割を担っていると首相や自民党議員が自覚していれば同法の軽率な成立はなかったはずだ。

 

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安倍晋三元首相

 

 

2023年7月8日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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